医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科|
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背中が痛い・整形外科で異常なしだった・内臓や腎臓が心配な方へ
背中が痛い原因とは?内臓・腎臓・大動脈との関係を内科医が解説
背中の痛みの原因(腎臓・膵臓・大動脈解離・筋骨格)、右側・左側・真ん中で違う原因、何科を受診すべきかを総合内科専門医が解説します。高血圧・腎臓病がある方の注意点も。
「背中が痛いけれど、整形外科では異常がないと言われた」「内臓や腎臓の病気ではないか心配」と不安に感じている方は少なくありません。背中の痛みは、筋肉や骨だけでなく、腎臓・膵臓・胃・心臓・大動脈などの内臓の病気が原因になっていることもあります。この記事では、「背中が痛い原因」をテーマに、右側・左側・真ん中の違いや内臓由来の痛みの特徴、何科を受診すべきかを総合内科専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事のポイント
背中の痛みは原因によって緊急度が大きく異なります。まずは大きく3つのカテゴリに分けて整理します。
| カテゴリ | 主な原因 | 特徴的な症状・ポイント |
|---|---|---|
| 筋骨格系 | 筋肉痛・ぎっくり腰・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症 | 動作で悪化・押すと痛い場所が特定できる・徐々に始まることが多い |
| 腎臓・尿路 | 腎盂腎炎・尿路結石・慢性腎臓病(CKD) | 発熱・血尿・叩くと響く痛み・脇腹〜下腹部への放散痛 |
| 消化器 | 膵炎・膵臓がん・胃潰瘍・逆流性食道炎 | みぞおちから背中に抜ける痛み・食後悪化 |
| 循環器【最重要】 | 大動脈解離・大動脈瘤・心筋梗塞 | 突然の激烈な痛み・引き裂かれる感覚・冷や汗・血圧の左右差 |
| 呼吸器 | 肺炎・胸膜炎・気胸・肺塞栓 | 発熱・咳・呼吸で悪化する胸背部痛・突然の息苦しさ |
| 皮膚 | 帯状疱疹 | 片側のピリピリした痛み・発疹が出る前から痛いことがある |
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「まず、大動脈解離や心筋梗塞・気胸・肺塞栓など緊急性が高いものは突然発症であることが多いため、急激に痛くなったかどうかを考えます。数週間前から徐々に痛くなっているのであれば、緊急性が高い病気で放置したままそのまま生活できる可能性は低いためです。具体的に『何時何分から痛くなった』『〜をしているときに痛くなった』など言える場合は内臓疾患を考えます。高熱や強い咳症状がある・吐血をしているときなども緊急性が高いと判断します。慢性的な経過で痛みの進行がない場合は、整形外科疾患やその他内科疾患を中心に考えます。」
「いつもの腰痛だろう」と自己判断してしまうと、重篤な病気の発見が遅れることがあります。ここでは内科で特に注意が必要な背中の痛みについて解説します。
腎臓は背中側、ちょうど腰の少し上あたりに位置しているため、腎臓や尿路の病気は「背中〜腰の痛み」として感じられます。腎盂腎炎(細菌感染による腎臓の炎症)は発熱・悪寒・腰背部の叩打痛が特徴で、特に女性・糖尿病患者・CKDがある方でリスクが高くなります。尿路結石は突然の激痛で脇腹から下腹部・陰部に放散し、血尿を伴うことがあります。
膵炎・膵臓がんはみぞおちから背中に抜けるような痛みが特徴です。食後や飲酒後に悪化しやすく、前傾姿勢で少し楽になることがあります。胃潰瘍・逆流性食道炎でも食後に背中の痛みが出ることがあります。
大動脈解離は突然の激烈な背中・腰の痛みで始まります。「引き裂かれるような」「今まで経験したことのない」痛みと表現されることが多く、高血圧・動脈硬化・喫煙歴がある方でリスクが高くなります。一見ぎっくり腰と区別がつかないことがあり、血圧の左右差・冷や汗・意識障害を伴う場合は直ちに救急搬送が必要です。
⚠️ 大動脈解離を疑う場合は即救急車
突然の激烈な背中・腰の痛み+冷や汗・血圧の左右差・息苦しさ・意識の変化がある場合は大動脈解離の可能性があります。自力で受診せず即座に救急車を呼んでください。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「私が研修医のときの話です。夜間の救急外来に、高いところの本を取ろうとしたら急に腰が痛くなってぎっくり腰になってしまったから鎮痛薬と湿布が欲しい、という患者さんが来院されました。確かに典型的なぎっくり腰のパターンで、来院も歩いてされた患者さんでした。しかし私たち医師は緊急性が高い疾患があるかどうかを最優先に診療します。ご本人は最初は理解できていなそうでしたがご説明の上で血液検査を施行したところ、大動脈解離を考えうる所見があり、CT検査に進んだ結果、大動脈解離の診断となり緊急入院となった、という経験があります。その患者さんには高血圧と喫煙歴があり、大動脈解離のリスクが高い方でした。どんなに可能性が低くとも、命に関わる疾患の可能性がある場合は、丁寧な問診と必要に応じた検査が重要と痛感した症例でした。」
背中の痛みは「右側か・左側か・真ん中か」によって、考えられる臓器や病気がある程度変わります。内臓は左右非対称に配置されているため、痛む側は原因を絞り込む大きな手がかりになります。まず一覧表で全体像を示し、続いて側ごとに詳しく解説します。
| 部位 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 右側の背中の痛み | 肝臓・胆のう(胆石・胆のう炎)・右腎臓(腎盂腎炎・尿路結石)・右側の帯状疱疹・筋肉 |
| 左側の背中の痛み | 膵臓(膵炎・膵がん)・左腎臓・脾臓・心臓(狭心症・心筋梗塞)・胃・左側の帯状疱疹・筋肉 |
| 両側・真ん中の背中の痛み | 脊椎(圧迫骨折・ヘルニア)・筋肉・大動脈(解離・瘤)・腎臓両側・肺 |
右側の背中の内側には、肝臓・胆のう・右の腎臓があります。脂っこい食事のあとに右の上腹部から右の背中・右肩甲骨のあたりへ広がる痛みが出る場合は、胆石発作の典型的なパターンです。痛みは数十分〜数時間続き、繰り返すことがあります。発熱や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)を伴う場合は胆のう炎や胆管炎の可能性があり、早めの受診が必要です。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、痛みを出しにくい臓器ですが、肝臓が腫れると右の肋骨の下から背中にかけて重い鈍痛を感じることがあります。飲酒量が多い方、健診で肝機能異常を指摘されている方は注意が必要です。
右の腎臓が原因の場合は、右の腰のあたりを叩くと響くように痛む(叩打痛)のが特徴で、発熱を伴えば腎盂腎炎、突然の激痛と血尿なら尿路結石を疑います。また、右側だけにピリピリした痛みが帯状に続き、数日後に発疹が出た場合は帯状疱疹です。
左側で最も注意したいのは膵臓と心臓です。膵臓は胃の裏側、体のやや左寄りにあるため、膵炎の痛みはみぞおちから左の背中へ突き抜けるように感じられます。飲酒後や脂肪の多い食事のあとに強くなり、体を前に丸めると少し楽になるのが特徴です。膵臓がんでは、持続する鈍い背中の痛みに加えて、食欲低下・体重減少・糖尿病の急な悪化・黄疸などが現れることがあります。痛みが数週間続き、これらの症状を伴う場合は早めに内科で評価を受けてください。
心臓が原因の場合、狭心症や心筋梗塞の痛みは胸だけでなく左肩・左腕・左の背中(肩甲骨のあたり)へ放散することがあります。階段や早歩きなど体を動かしたときに出て休むと治まる、冷や汗や息苦しさを伴う、圧迫されるような痛みが20分以上続く——こうした場合は心筋梗塞の可能性があり、救急受診が必要です。糖尿病のある方は痛みを感じにくく、背中の違和感だけで心筋梗塞が起きていることもあります。
胃潰瘍では、みぞおちの痛みが背中に抜けることがあり、空腹時や食後に悪化します。左の腎臓は右側と同様に、叩打痛・発熱・血尿が手がかりです。脾臓は左の肋骨の下にあり、腫れると左の背中や左肩に痛みが出ることがありますが、頻度は多くありません。左側だけの帯状の痛みは帯状疱疹を考えます。
背中の真ん中の痛みは、背骨(脊椎)や背中の筋肉が原因のことが最も多く、動作や姿勢で痛みが変わるのが特徴です。ただし高齢の方、特に骨粗鬆症のある女性では、尻もちや重い物を持ったあとに急に真ん中が痛くなった場合、背骨の圧迫骨折のことがあります。
一方で、内臓が原因の真ん中〜両側の痛みで最も危険なのが大動脈解離・大動脈瘤です。大動脈は背骨のすぐ前を走っているため、解離が起きると背中の真ん中に「引き裂かれるような」激痛が突然起こり、痛みの場所が胸から腰へ移動することもあります。両側の腎臓の炎症、肺炎や胸膜炎(呼吸で悪化する痛み)も両側の背中に痛みを出します。
| 確認すること | 内臓が疑わしいサイン | 筋骨格が疑わしいサイン |
|---|---|---|
| 痛みの始まり方 | 突然・時刻が言える・何もしていないのに | 徐々に・動作をきっかけに |
| 食事との関係 | 食後・飲酒後に悪化する | 関係しない |
| 動作との関係 | 安静にしていても痛い・姿勢を変えても変わらない | 動くと痛い・押すと痛い場所がある |
| 発熱 | ある | ない |
| 尿の異常 | 血尿・尿の回数が増える | ない |
| 皮膚 | 片側に発疹・ピリピリ感 | ない |
「内臓が疑わしいサイン」が1つでも当てはまる場合は、整形外科ではなく内科での評価をおすすめします。
| 病気 | 背中の痛みとの関係 | 特に注意すること |
|---|---|---|
| 高血圧・喫煙歴 | 動脈硬化が進み大動脈解離・大動脈瘤のリスクが高い | 突然の激烈な背中の痛みは即救急。「ぎっくり腰」と自己判断しない |
| 糖尿病 | 免疫低下で腎盂腎炎・膿瘍などの感染症にかかりやすい | 発熱を伴う背中の痛みは感染症を疑い早めに受診 |
| 慢性腎臓病(CKD) | 腎臓自体の炎症・結石・感染が背中の痛みを引き起こすことがある | 倦怠感・むくみ・血尿を伴う背中の痛みは腎臓由来を疑う |
| 脂質異常症 | 動脈硬化を促進し大動脈疾患のリスクを上げる | 背中の痛みを「どうせ筋肉」と自己判断しない |
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「前述の『ぎっくり腰だと思ったら大動脈解離だった』という経験は、基礎疾患の有無の重要性を改めて実感させてくれるものでした。高血圧や喫煙歴がある方は大動脈解離や心筋梗塞などのリスクが高く、糖尿病がある方は腎盂腎炎や膿瘍などの感染症疾患のリスクが高い方です。患者さんの背景をしっかりと見ながら、現病歴の問診を丁寧に行うことが重要です。」
| 状況 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 突然の激烈な背中・腰の痛み+冷や汗・血圧左右差・息苦しさ | 即救急車(大動脈解離の可能性) |
| 発熱+腰背部痛(特に叩くと響くように痛い) | 内科(腎盂腎炎の評価) |
| 脇腹〜下腹部への激痛+血尿 | 内科・泌尿器科(尿路結石の評価) |
| みぞおち〜背中への痛み+食後悪化 | 内科・消化器内科(膵臓・胃の評価) |
| 動作・姿勢で悪化・押すと痛い | 整形外科(筋骨格系の評価) |
| 片側のピリピリ感・発疹がある | 内科・皮膚科(帯状疱疹の評価) |
| 原因がわからない・内臓が心配 | まず内科で総合評価 |
背中の痛みの原因は筋骨格系(ぎっくり腰・椎間板ヘルニア)だけでなく、腎臓(腎盂腎炎・尿路結石)・膵臓・胃・大動脈解離・帯状疱疹など内臓由来のものが含まれます。突然の激烈な痛みや発熱を伴う場合は早めの受診が必要です。
発熱を伴う・突然の激烈な痛み・血尿がある・みぞおちから背中に抜ける痛み・冷や汗や息苦しさを伴う場合は内科または救急への受診が必要です。高血圧・糖尿病・腎臓病がある方は整形外科だけでなく内科での評価も重要です。
右腎臓(腎盂腎炎・尿路結石)・肝臓・胆のう(胆石・胆のう炎)・右側の帯状疱疹・筋肉などが原因として考えられます。脂っこい食事のあとに右の背中から右肩甲骨のあたりが痛む場合は胆石、発熱・黄疸・血尿を伴う場合は早めの受診をお勧めします。
膵臓(膵炎・膵がん)・左腎臓・脾臓・心臓(狭心症・心筋梗塞)・胃・左側の帯状疱疹・筋肉などが考えられます。みぞおちから左の背中に抜ける痛みは膵臓、動いたときに左肩から背中に広がる痛みや息苦しさ・冷や汗を伴う場合は心臓の評価が必要です。
背骨そのもの(圧迫骨折・椎間板ヘルニア)や背中の筋肉が多いですが、大動脈解離・大動脈瘤、両側の腎臓、肺の病気でも真ん中〜両側の背中が痛むことがあります。突然の激烈な痛み、発熱、息苦しさを伴う場合は内臓由来を疑い、早めに受診してください。
突然の激烈な背中の痛みは救急。発熱を伴う場合は内科。動作で悪化・押すと痛い場合は整形外科が基本です。原因がわからない・内臓が心配な場合はまず内科で総合的に評価することをお勧めします。
背中の痛みは軽い筋肉痛から命に関わる病気まで幅広く、自己判断で見分けることは難しい症状です。特に高血圧・糖尿病・腎臓病・喫煙歴などの基礎疾患がある方は、リスクが高いため注意が必要です。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「痛みが急激に起きた・発熱があるなどの症状の場合は緊急性が高いことがあるため、早めの受診が重要です。特に高血圧や糖尿病・腎臓病などの基礎疾患がある場合や喫煙歴のある方はリスクが高いため、特に注意してください。少しでも『いつもと違う』『内臓が心配』と感じたときは、遠慮なくご相談ください。」
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本記事は日常診療の視点から監修しています。最終更新日:2026年9月13日。症状の状態によって適切な対応は異なります。自己判断せず医療機関へご相談ください。