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足のむくみ・浮腫の原因が気になる方・何科に行けばいいか迷っている方へ
足のむくみ(浮腫)の原因とは?腎臓・心臓・甲状腺・病気のサインを内科医が解説
足のむくみの原因(腎臓病・心不全・甲状腺・高血圧・薬剤性・リンパ浮腫)と受診の目安を、腎臓内科専門医の院長がわかりやすく解説します。
「最近、夕方になると靴がきつい」「足首がだるくて重い」「立ち仕事のあとにふくらはぎがパンパンになる」——このような足のむくみが続くと、「原因は何なのか」「病気が隠れていないか」と不安になります。足のむくみ(浮腫)は、腎臓・心臓・甲状腺・肝臓・薬の副作用・生活習慣など、さまざまな要因で起こる症状です。足のむくみの原因を正しく理解し、「様子を見てよいむくみ」と「すぐ受診すべきむくみ」を見分けることが大切です。
この記事のポイント
むくみ(浮腫)は、血管の外に水分がしみ出して、細胞と細胞のすき間にたまった状態を指します。体の中では、血管・リンパ管・血液中のアルブミンがバランスを取りながら水分量を調節しています。このバランスが崩れると、足首やふくらはぎに余分な水分がたまり、足のむくみとして自覚されます。
すねを5秒ほど押して、指を離しても跡が数秒残る場合は「圧痕性浮腫」と呼ばれ、腎臓・心臓・肝臓・低アルブミン血症などが背景にあることがあります。一方で、リンパ浮腫や甲状腺機能低下症では、押してもへこみにくい「非圧痕性浮腫」を示すことがあります。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「浮腫(むくみ)は非常に繊細なものであるため、ご本人が一番気づきやすいです。例えば、今日は指輪がきつい、靴を履いた時の感覚がいつもと違う、など、経験したことがあるのではないでしょうか?正直に申し上げるとそのレベルの変化を診察で気が付くのは難しく、また逆に言えば臨床的に問題となるケースは少ないことが多いです。一般的に我々臨床医は脛骨(スネのところにある骨)を押すことで足のむくみがあるかどうかを調べます。押してへこむものなのか、それともへこまないものなのか、むくみの性状の違いでどこが原因なのかを推測していきます。下腿浮腫があるようであれば、何か病気が隠れている可能性が高いと考え、検査を行っていきます。」
重力の影響で、長時間の立ち仕事や座りっぱなしのあとに夕方〜夜だけむくむ場合は、生理的な範囲や静脈不全が主な原因のことがあります。一方で、朝起きても引かないむくみ・顔までむくむ状態・数日での急な体重増加は、腎臓病・心不全・甲状腺機能低下症などを疑うサインです。
| タイミング | 特徴 | 疑われる原因 |
|---|---|---|
| 夕方〜夜だけ | 朝は改善している | 生活習慣・長時間立ち仕事・静脈不全 |
| 朝起きても残る | 一晩寝ても引かない | 腎臓病・心不全・甲状腺機能低下症 |
| 顔(まぶた)もむくむ | 朝に顔がはれぼったい | 腎臓病、特にネフローゼ症候群 |
| 急に体重が増えた | 数日で2〜3kg増 | 心不全・腎不全・肝硬変 |
むくみの診療で最初に重要なのが、「両足にあるか」「片足だけか」という見方です。両足が左右対称にむくんでいる場合は、腎臓・心臓・肝臓・甲状腺・薬剤性・低栄養など全身性の原因が多く、片足だけのむくみは深部静脈血栓症(DVT)・リンパ浮腫・蜂窩織炎・静脈瘤など局所の異常を疑います。
| むくみの分布 | まず疑う原因 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 両足(左右対称) | 腎臓病・心不全・肝硬変・甲状腺機能低下症・薬剤性・低栄養 | 全身性疾患。血液・尿検査・心電図で鑑別 |
| 片足だけ | 深部静脈血栓症(DVT)・リンパ浮腫・蜂窩織炎・静脈瘤・骨折後 | 局所性疾患。DVTは緊急性あり |
| 顔〜全身 | ネフローゼ症候群・急性腎炎・重症心不全 | 低アルブミン血症・尿蛋白を確認 |
| 顔のみ(朝) | 腎臓病・アレルギー・甲状腺 | 尿検査・甲状腺機能を確認 |
⚠️ 片足だけが急に腫れた場合は要注意
深部静脈血栓症(DVT)の可能性があります。片足のみの急な腫れ・熱感・痛みがある場合は、肺塞栓症につながる危険があるため早急な受診が必要です。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「両足のむくみの場合は内科疾患である可能性が高いと考えます。具体的には、腎臓や心臓、甲状腺や肝臓、栄養状態などですね。逆に片足の場合は血管や皮膚疾患のことが多いです。リンパ浮腫は手術歴の有無などによっても片側であったり両側であったりすることがあります。」
| 原因カテゴリ | 主な疾患 | 特徴的なポイント |
|---|---|---|
| 腎臓の病気 | 慢性腎臓病・ネフローゼ症候群・急性腎炎 | 尿蛋白・低アルブミン・朝の顔のむくみ |
| 心臓の病気 | 心不全・弁膜症 | 息切れ・体重増加・夜間呼吸困難を伴う |
| 肝臓の病気 | 肝硬変・肝機能低下 | 腹水・黄疸を伴うこともある |
| 甲状腺の病気 | 甲状腺機能低下症(橋本病) | 非圧痕性。寒がり・体重増加・倦怠感 |
| 高血圧・降圧薬 | Ca拮抗薬(アムロジピン等)による薬剤性 | 足首〜下腿の左右対称のむくみ |
| 低栄養・低アルブミン | 高齢者・食欲低下・消化器疾患 | 血清アルブミン低下で確認 |
| リンパ浮腫 | がん治療後・原発性リンパ浮腫 | 皮膚が硬くなる・Stemmer徴候 |
| 静脈不全・静脈瘤 | 長時間立ち仕事・妊娠・高齢 | 夕方悪化・夜間つりを伴うことも |
| 深部静脈血栓症 | 長期臥床・航空機移動・妊娠 | 片足・緊急性あり |
| 生活習慣・一時的 | 塩分過多・長時間同一姿勢・月経前 | 翌朝改善することが多い |
腎臓は体の水分と塩分を調節する臓器で、機能が低下するとナトリウムと水分が体にたまり、むくみが生じます。ネフローゼ症候群では尿中に大量のたんぱくが漏れ、低アルブミン血症によって血管内に水分を保てなくなるため、顔や全身のむくみが強く出ます。朝の顔のむくみ・尿の泡立ち・尿量減少は腎臓が原因のむくみを疑う手がかりです。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「腎臓内科は浮腫(むくみ)に関しては一番診療として経験することが多い症状の一つだと思います。腎臓の疾患としては、尿たんぱくが大量に出ることで血管内のたんぱく質が喪失していき、その結果としてむくみが出てきます。尿たんぱくが大量に出る病気としては、代表的なものは糖尿病です。その他、慢性糸球体腎炎や高血圧でも出ることがあり、そのような大量の尿たんぱくが出ている状態をネフローゼ症候群といいます。場合によっては、腎生検と言って、腎臓に針を刺す検査を行い、原因に応じて適切な治療を行わないと腎不全になり透析へと至るケースも少なくありません。」
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心不全では、心臓のポンプ機能が低下して静脈に血液が滞り、足首から下腿にかけて圧痕性浮腫が目立つようになります。特徴は、両足のむくみに加えて、数日での体重増加・息切れ・横になると苦しいといった症状を伴うことです。BNPやNT-proBNP・胸部X線・心電図が診断の助けになります。
甲状腺機能低下症では、代謝低下により粘液水腫と呼ばれるむくみが起こり、押してもへこみにくい非圧痕性浮腫を示すことがあります。寒がり・体重増加・便秘・倦怠感・声のかすれを伴うことが多く、血液検査でTSH・FT4を確認します。
アムロジピンなどのCa拮抗薬は、血管を広げる作用により足首〜下腿のむくみを起こすことがあります。高血圧の薬を飲み始めてからむくみが出た場合は、自己判断で中止せず処方医に相談してください。薬の変更や調整で改善できることがあります。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「腎臓以外の原因として、心臓や甲状腺、肝臓などがあります。心臓が原因でむくんでいるときはその原因によって方針が変わってきます。例えば心筋梗塞や狭心症、致死的な不整脈を起こしている可能性があるときは緊急性が高いケースが多く、すぐに総合病院へ紹介状を作成します。緊急性がない場合、多くの場合は塩分過多のことが多く、その際は塩分制限の指導に加えて利尿剤を投与し治療を行っていきます。甲状腺疾患は緊急性が高いケースは少ないですが、甲状腺クリーゼという甲状腺ホルモンが大量に出ることで心不全を起こしている場合などは早急な治療が必要なため総合病院への紹介となります。その他甲状腺疾患では内服加療で行っていくことが多いため、当院で対応可能です。肝臓が原因の場合、肝炎ウイルスが原因なのか、アルコールが原因なのか、薬剤性なのか、など鑑別を考え、原因に応じて適切な肝臓専門医へ紹介となるケースが多いです。」
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リンパ浮腫は、リンパ管の形成不全や閉塞・損傷などによってリンパ液の流れが悪くなり、たんぱく質を多く含むリンパ液が皮下にたまって起こる慢性的なむくみです。原因は、先天的なリンパ管の異常による原発性リンパ浮腫と、がん手術や放射線治療などの後に起こる続発性リンパ浮腫に大きく分けられます。日本では、乳がん・子宮がん・前立腺がんなどの治療後に起こる続発性リンパ浮腫が代表的です。
初期には押すとへこむこともありますが、進行すると線維化や脂肪沈着が進み、皮膚が厚く硬くなって非圧痕性浮腫となることがあります。足の甲や足指の付け根の皮膚をつまもうとしてもつまめない「Stemmer徴候」は、リンパ浮腫でみられる特徴的な所見です。治療の基本は、スキンケア・用手的リンパドレナージ・弾性包帯や弾性ストッキングによる圧迫療法・圧迫下での運動療法を組み合わせた複合的治療です。まずは内科で腎臓・心臓・甲状腺・静脈の病気など他の原因を除外し、そのうえでリンパ浮腫外来や形成外科などの専門外来につなげる流れが一般的です。
塩分の摂り過ぎ・長時間の立ち仕事やデスクワーク・月経前・暑さ・アルコールなどでも一時的なむくみは起こります。翌朝には改善することが多い一方で、繰り返す場合や改善しない場合は病気が背景にある可能性もあります。
以下のようなむくみは、早めの受診が必要です。
⚠️ 以下の症状を伴うむくみはすぐに受診(場合によって救急)
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「緊急性が高い浮腫というものは、急激にむくみが出てくる場合です。明確にわかるのは体重です。例えば緊急性の高いむくみで受診される方は、1週間で5〜10kg程度の体重増加で受診されることも多いです。そのような場合は緊急性が高いため、早急に受診してください。逆に言えば、体重増加がない場合の浮腫は緊急性が高いケースは少ないと言っていいでしょう。体重はご自身で計測できる非常に有用な数値です。そのため、当院の外来では基本的に体重を測り、推移を見ていくことを推奨しています。」
むくみの原因は一つではないため、まずは内科・総合内科で全身を見てもらうのが適切です。内科では、血液検査・尿検査・心電図などを通して、腎臓・心臓・甲状腺・肝臓・低栄養・薬剤性といった主要な原因を一括して確認できます。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 血液検査(Cr・eGFR・BUN) | 腎臓病・腎不全の評価 |
| 血液検査(アルブミン) | 低アルブミン血症(ネフローゼ・肝硬変・低栄養)の評価 |
| 血液検査(BNP・NT-proBNP) | 心不全の有無 |
| 血液検査(TSH・FT4) | 甲状腺機能低下症 |
| 血液検査(肝機能:AST・ALT・γGTP) | 肝硬変・肝機能低下 |
| 尿検査(尿蛋白・尿潜血) | 腎臓病・ネフローゼ症候群 |
| 心電図 | 不整脈・心拡大のスクリーニング |
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息苦しさ・体重急増・尿量減少・片足だけの急な腫れを伴う場合は、自己判断せず受診が優先です。一方で、夕方だけ軽くむくむ・翌朝には戻る・長時間同じ姿勢のあとに出やすい場合は、生活改善が有効なことがあります。
塩分の摂り過ぎは体に水分をため込みやすくします。味噌汁・漬物・加工食品・外食の頻度を見直し、塩分を控えることがむくみ対策の基本です。1日6g未満が目安です(日本高血圧学会)。
休憩時や就寝前に足を少し高くすると、足にたまった水分が戻りやすくなります。弾性ストッキングは静脈不全などに有効ですが、心不全やDVTが疑われる場合は医師に相談してから使用してください。
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、歩行やつま先立ち運動で静脈血やリンパ液を心臓側へ戻す働きを助けます。デスクワーク中も足首を動かしたり、こまめに歩いたりすることがむくみ予防に役立ちます。
まずは内科・総合内科を受診してください。血液検査・尿検査・心電図をまとめて行い、原因を絞り込めます。原因によって腎臓内科・循環器内科・内分泌内科などへ紹介します。
深部静脈血栓症(DVT)・リンパ浮腫・蜂窩織炎・静脈瘤などの局所的な原因を疑います。急な腫れ・痛み・熱感がある場合は早急な受診が必要です。
圧痕性浮腫は、腎臓病・心不全・肝硬変・低アルブミン血症などの可能性があります。繰り返す場合は内科で相談してください。
自己判断での利尿薬使用はおすすめできません。原因によっては逆効果となり、脱水や電解質異常を起こすおそれがあります。必ず医師の診察を受けてから判断してください。
Ca拮抗薬が原因のことがありますが、自己判断で中止せず必ず処方医に相談してください。別の降圧薬への変更や利尿薬の追加で対応できることがあります。
以下のような方はご相談ください。
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本記事は、日本腎臓学会・日本循環器学会・日本甲状腺学会・日本リンパ浮腫学会の情報を踏まえ、日常診療の視点から監修しています。
※症状の状態によって適切な対応は異なります。自己判断せず医療機関へご相談ください。