ENDOCRINE METABOLISM DEPARTMENT・OBESITY CLINIC
メタボリックシンドローム(メタボ)とは、内臓脂肪が増えることで生活習慣病のリスクが高まった状態を指します。特に、
が組み合わさることで、心筋梗塞・脳梗塞などの重大な疾患につながります。
最近は痩せ型でも内臓脂肪が多い「隠れメタボ」が増えており、自覚症状がほとんどないため、早期の検査が非常に重要です。
また、肥満症は単なる「体重増加」ではなく、体重増加が原因で高血圧症や脂質異常症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、月経不順、整形外科的疾患などが起きている状況のことを指します。単に見た目が太っている、というだけでなく、医学的に治療が必要な状況と考えてください。
日本の診断基準では、以下の項目が該当するとメタボリックシンドロームと診断されます。
1. 内臓脂肪型肥満(必須)
2. 上記に加えて以下の2項目以上
これらは自覚症状がないまま進行するため、健康診断だけでは見逃される場合もあります。
メタボや肥満症を放置すると、以下の病気のリスクが大幅に上昇します。
早期に治療を始めることで、これらの疾患は確実にリスクを減らすことができます。
当院では医師が食事や運動、睡眠、ストレスなどを評価し効果的なアドバイスを行うことが可能であり、必要な際は体重が減らない原因を調べる血液検査などを行うことも可能です。また、食事に関してはさらに専門的なアプローチとして管理栄養士による1対1の栄養指導を行いことも可能ですので、体重が減らないことでお困りの方はいつでもご相談ください。
また、当院ではGLP-1受動態作動薬(マンジャロ®)による治療も積極的に行っております。糖尿病の方以外は自費診療になること、また、当院では単に肥満の方には処方はせず、肥満症をおこしている方(肥満が原因により健康障害を有する方)に処方を検討します。詳細はこちらのブログをご参照ください。
いわゆる痛風の原因となる尿酸値が高くなる病気であり 、日本に1000万人の患者がいると言われています。そのうち痛風を発症するのは10%程度ですが、残りの方は問題ないかというと全くそんなことはありません。
高尿酸血症は痛風だけでなく、腎不全や動脈硬化(放っておくと、脳卒中や心筋梗塞へと進展する可能性があります)のリスクになると言われており、尿酸値のコントロールは大病への予防と言えると思います。食生活だけで改善することもあれば、尿酸値を下げる薬を飲まなければいけないことも多いです。
高尿酸血症の治療は痛風発作時にはステロイドや痛み止めで炎症を抑えることが目的の治療となりますが、発作など起きていない場合は、尿酸が産生過多なのか排泄障害なのかで治療方針が変わってきます。患者様の病態に応じた治療を提案していきます。

(LDL=悪玉)コレステロールや中性脂肪が高い状態です。尿酸値と同じでこの数値が悪いからと言ってすぐに命に関わることはありませんが、血液がドロドロになることで発症する動脈硬化のリスク因子であり、最終的には脳卒中や心筋梗塞、腎不全のリスクへと繋がっていきます。食生活が欧米化して久しいですが、時代背景に合わせて非常に多くの患者がいると考えられています。遺伝性に起こすこともあり、遺伝性の場合は心疾患による死亡率が非常に高くなるため、厳格な管理が必要になります。また、内分泌疾患に伴って発症する脂質異常症もあり、その他の生活習慣病と同様に原因精査を行ったのちに治療方針を決めることが大切です。
目標の数値は患者様のその他の合併症(高血圧、糖尿病、腎不全、心筋梗塞や脳卒中の既往、など)によって大きく変わってくるため、しっかりと説明を行います。一緒に目標の数値を達成していきましょう。
骨粗鬆症は非常にありふれた代謝性疾患の一つであり、よく耳にする名前だと思います。日本には1300万人程度の患者が存在すると言われています。骨粗鬆症≒骨折、と認識している方も多いと思いますが、骨折をすることで歩けなくなり寝たきりになる、最終的に肺炎を起こし、結果的に命を落としてしまう、ということは一般内科でよく経験することと言わざるを得ません。
診断は骨量の減少を骨密度の低下で評価するとともに、既に骨粗鬆症に由来する骨折が存在するかどうかを合わせて評価することによって行いますが、大切なことは骨粗鬆症と診断した時にいわゆる加齢などから来るものなのか、それ以外の原因(内分泌疾患や薬剤の影響など)で引き起こされたものなのかを慎重に見極めることです。原因がある場合はそれに応じて治療方針が変わる可能性がありますので、診断時の評価が非常に大切になってきます。
また、近年では糖尿病や慢性腎不全などの生活習慣病患者は骨粗鬆症の発症リスクが高いと言われており、骨粗鬆症も生活習慣病とは密接な関係があることが明らかになっています。
骨粗鬆症の治療は運動療法や食事療法に加えて薬物治療も中心となってきます。その中で薬物療法は大きく分けても9種類前後に分けることができ、患者様の病態に応じた治療(性別や腎不全の有無、内分泌疾患の有無、など)が必要となってきます。
骨密度の検査は当院で施行することができ、加えて治療効果を判定するための骨代謝マーカーの測定も行うことができます。患者様の病態に応じた治療法をご提案していきます。
内分泌疾患は甲状腺疾患を代表として数多くの疾患があります。生活習慣病と言われる高血圧や糖尿病に関わることもあれば、寝つきが悪い、汗をかく、疲れやすい、など、一見病気とは考えにくい症状を呈することも多く、疑わなければ診断がつけられない疾患が数多くあります。
当院では、内分泌臓器(下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎など)の診療に加え、電解質バランスの異常や内分泌の病気を原因とする高血圧、脂質異常症、糖尿病などにも幅広く対応しています。診断に必要な『負荷試験』も行うことができ、必要に応じて専門施設への紹介を積極的に行なっています。下記に代表的な疾患を記載します。

甲状腺ホルモンは代謝に関与するホルモンであり、ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症、逆にホルモンが低下する甲状腺機能低下症、ウイルス感染などによって引き起こされる亜急性甲状腺炎、その他甲状腺がんなど多くの疾患があります。代謝に関与するため、急に太ってきた、痩せてきた、汗をかくようになった、逆にかかないようになってきた、動悸がする、などの症状だけでなく、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病に関与します。多彩な症状を示すため、疑わなければ診断に難渋することも多い病気の一つです。当院では甲状腺疾患の診断に必要な超音波検査も随時行うことができます。
高血圧の欄でも記載していますが、高血圧の原因として5~10%程度がこの疾患ではないかと言われています。アルドステロンとは、副腎という臓器から産生されるホルモンであり、高血圧を呈するだけでなく、低カリウム血症を引き起こし、脱力感を呈することもあります。持続する低カリウム血症は不整脈や腎不全など、心臓や腎臓にも負担をかけることも多く、通常の高血圧治療では正しく治療をすることができません。高血圧=降圧薬、と言った短絡的な治療でなく、当院では原因のある高血圧を見逃さず検査、治療を行っていきます。
脳下垂体は脳の中心から垂れ下がっている器官であり、内分泌腺のホルモン分泌や尿量を調節する重要な役割を果たしています。脳下垂体のホルモン分泌が増加する病気には先端巨人症、クッシング病、末端肥大症などがあります。逆にホルモン分泌が低下する病気には下垂体機能低下症や中枢性尿崩症があります。下垂体腫瘍は症状としては視力・視野障害があり、良性が多く、時間をかけてゆっくり増大する特徴があります。
副甲状腺の病気の多くは、副甲状腺機能亢進症です。副甲状腺ホルモンの過剰な分泌によって、血液中のカルシウム濃度が上昇し、尿路結石、骨粗鬆症や高カルシウム血症による様々な症状(食欲不振、悪心、嘔吐、便秘、倦怠感、筋力低下、精神症状、のどの渇き、多飲多尿など)を引き起こします。血液中のカルシウム・副甲状腺ホルモン(PTH)量が高値になることで診断ができます。
副腎は腎臓の上にある小さな器官であり、ホルモンを作る働きをしています。副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に産生されると、太ってきたり、高血圧になったり、糖尿病になるなど様々な症状が起きてきます。副腎ホルモンは人にとって必要不可欠な物質であり、副腎の働きが悪くなる病気は生命に関わることもあります。血液検査のほか、ホルモン負荷試験や各種画像診断等で正確に診断することが重要です。
副腎(稀に副腎外)からアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコラミンというホルモンが産生される腫瘍です。カテコラミンは昇圧作用があるため高血圧を呈することが多いですが、糖尿病も合併することがあります。その他、頭痛や発汗過多、体重減少、動機、便秘などの多彩な症状を呈します。通常の検査では発見されることが少ないため、この病気を疑った際にはカテコラミンの代謝産物である尿中メタネフリンを検査することが大切です。高血圧含めて症状を呈さないこともあり、CTなどの画像検査で偶発的に発見される場合もあります。この病気が疑われた際には専門病院での精査、治療が必要となるため、迅速に適切な病院へご紹介いたします。