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気管支喘息・咳喘息|医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科|東武練馬駅・下赤塚駅より徒歩圏内

気管支喘息・咳喘息

ASTHMA

気管支喘息・
咳喘息

内科を受診される患者さんの中で一番多い主訴は何かご存じでしょうか?それは、『せき』です。医学用語では『咳嗽(がいそう)』と言います。今まで咳が出たことがない方はいないと思いますが、なかなか咳が止まらなくて困った経験もあるのではないでしょうか?一言で咳が出る、と言っても多くの原因がありますので、ここでは頻度の多いものをご紹介いたします。

咳

まず、大前提として感冒、つまり風邪を引いたあとのせき=感冒後咳嗽というものがあります。みなさんは風邪を引いた後咳の治りが悪くて病院を受診された経験はあるのではないでしょうか?また、そうでなくてもせきがしつこいなーと感じたことはあるかと思います。私たち医師の中では、『感冒後咳嗽は1~2か月続いても異常ではない』となっているため、咳が治らないという主訴で来院される方の中には、感冒後咳嗽の方も多くいらっしゃいます。鎮咳薬=咳止めで対応することになりますが、それ以外の疾患が併発している可能性も当然考えます。その中で多いものが、気管支喘息含むアレルギー性咳嗽です。その他、逆流性食道炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、アトピー咳嗽などがあります。原因に応じて治療方針は変わってきますが、ここでは、気管支喘息・咳喘息に関して詳しく説明します。

気管支喘息・咳喘息ってどういう病気?

気管支喘息は気道に慢性的なアレルギー性の炎症が生じて、様々な刺激に敏感になり、気管支が狭くなる発作を繰り返す病気です。喘鳴(呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューと鳴ること)や激しい咳、痰が出て呼吸が苦しくなります。対して、咳喘息は症状として出るのは、せきのみ、です。しかし、気管支喘息と同様、気管の過敏性が亢進しており、治療方針としては一緒になります。咳喘息は比較的新しい概念ですが潜在的な患者数は非常に多いと考えられています。

気管支喘息は、ひどい発作が起きれば呼吸困難を起こし、命に関わることもあります。炎症を治療しない限りはいつでも繰り返し発作が出現します。さらに炎症が長く続くと、気管支自体が硬くなる「リモデリング」という病態を発症し、息切れが続くようになったり、治療が聞きにくくなります(難治性喘息といいます)。今は非常に治療効果の高い吸入ステロイド薬が普及しているため、命にかかわることは非常に減りましたが、それでも多くの方が喘息で命を落としているため、しっかりとした原因解明、治療が必要です。咳喘息は咳嗽のみの症状ですが、咳喘息を繰り返していると2~3割は気管支喘息に移行すると言われているため、しっかりとした治療が必要です。また、咳嗽が止まったからと言ってすぐに治療をやめてしまうとすぐに再発するため、2~3か月程度は治療を続けることが推奨されています。

ここからは、気管支喘息・咳喘息を『喘息』として表現して解説いたします。

喘息の原因としてはダニやハウスダスト、ペットの毛、花粉、カビなどのアレルギーによることが多いとされていますが、原因物質が特定できない(特定の原因がない)こともあります。小児の喘息は比較的アレルギーの原因を同定できることが多いですが、成人の場合は原因を同定できないことも多いと言われています。

【喘息の主な原因や誘因】

アレルゲン

  • ダニ
  • ハウスダスト
  • ペットのフケ
  • 花粉
  • カビ
  • など

アレルゲン以外の誘因(悪化要因となるもの)

  • 激しい運動
  • 過労/ストレス
  • かぜなどの感染症
  • 大気汚染
  • 天候/気温の変化
  • 喫煙/受動喫煙
  • 香水などの匂い

以下のような症状にお困りの方は喘息の可能性があります。是非ご相談ください。

  • 息をすると「ゼーゼー、ヒューヒュー」という音がする。
  • 風邪を引いていないのに、咳や痰がでる。
  • 風邪を引いた後に咳や息苦しさが長引く。
  • 早朝や夜間に息苦しくなる。咳が出て眠れない。
  • 走ったり運動をすると咳が出て、息苦しく感じる。
  • 季節の変わり目や天気によって、咳が出やすい。
喘息はどうやって診断するの?

喘息は、明確な診断基準が示されているわけではなく、まずは喘息を疑う症状があるかどうか、問診から診断をつけにいくことが一般的です。

気管支喘息の症状は、喘鳴(呼吸の音がゼーゼー、ヒューヒューと鳴る)やしつこい咳や痰、息苦しさが挙げられますが、症状が時間経過によって変動する特徴があります。そのために診察の時には症状が消えてしまっていることもよくありますが、問診(詳しい症状の経過、アレルギーやこれまでの病歴、生活環境の確認など)、診察(聴診)、血液検査(末梢血好酸球数、IgE値、アレルギー検査など)、呼気一酸化窒素(FeNO)検査、呼吸機能検査など必要に応じて行い、総合的に診断します。

肺炎や気管支炎などの感染症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など喘息と似たような症状が出る病気でないことを確認することも非常に大切です。

【喘息を疑う代表的な症状】

  • 発作性の呼吸困難や咳嗽
  • アレルゲン暴露時や夜間、早朝、運動の症状の悪化
  • アトピー素因
  • 天候などの環境要因による悪化
  • 喫煙や飲酒による影響
  • 気道炎症の存在(後述する呼気NOによる)

呼気一酸化窒素(NO)検査

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当院では、気道のアレルギー性炎症を調べる検査である、呼気NO(FeNO)検査を導入しています。この検査により、喘息の診断の一助になるだけでなく、治療により喘息のコントロールがうまくいっているかどうかをチェックすることもできます。呼気NO検査は簡便な検査ながら喘息の診断に役立つ検査であり、なかなか治らない咳症状でお困りの方はぜひ一度検査をやってみることをお勧めいたします。

検査は10秒程度息を吹きかけ、その息の中にどれくらい一酸化窒素が含まれているかチェックするものですが、正常上限値は15ppb~37ppbとされ、喘息診断には22ppbをカットオフとすると感度が91%、特異度84%とされています。

喘息の治療はどうやってやるの?

当院の気管支喘息の治療は、症状に悩まされることなく日常を過ごすことができること、気道炎症をコントロールし発作を予防すること、リモデリングによる呼吸機能低下を防ぐこと、を目標としています。そのためには発作が起きてから対応をするだけでなく、発作をなるべく起こさないように長期管理薬(コントローラー)を継続していくことが重要です。

最近では、ダニアレルギーに対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)が喘息に有効であることが分かったり、従来の治療では症状が安定しない難治性喘息に対して分子標的薬がいくつか開発されるなど、喘息治療は進歩しています。当院では、喘息予防・管理ガイドライン(日本アレルギー学会)に沿った、標準的な喘息治療を提供していきます。

【主な喘息治療薬】

長期管理薬(コントローラー)
・吸入ステロイド薬(ICS)
  • 喘息治療の基本になる薬です。喘息の原因である気道のアレルギー性炎症を抑えます。
・長時間作用型β2刺激薬(LABA)(吸入薬)
  • 気管支を拡張させる作用があります。ICSと組み合わせて使用することが一般的です。
・長時間作用型抗コリン薬(LAMA)(吸入薬)
  • 気管支を拡張させる効果や痰や分泌物を減らす効果があります。ICSやLABAと組み合わせて使用します。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)(内服薬)
  • 気道炎症を抑える効果があります。アレルギー性鼻炎の治療でも使用されます。
・テオフィリン製剤
  • 気管支拡張作用に加え、抗炎症作用も持ち合わせています。
・生物学的製剤(注射)
  • 既存の喘息治療だけではコントロールが難しい難治性喘息で使用します。現在多くの生物学的製剤が承認されており、喘息治療は大きな転換点を迎えています。
発作治療薬(リリーバー)
・短時間作用性吸入β2刺激薬(SABA)(吸入薬・ネブライザー)
  • 喘息発作をしずめるために使用する薬で、素早く気管支を拡げる作用があります。
・ステロイド(内服、点滴)
  • SABAを使用しても改善しない発作に対して使用されます。発作の原因となる気道炎症を抑制します。通常、数日から1週間程度の短期間に限定して使用されます。

注射

長期管理薬(コントローラー)は、定期的に使用して発作を予防していく薬です。症状がなくても途中で止めずに続けていただくことが大切です。発作治療薬(リリーバー)は、短時間で症状を改善してくれますが、発作治療薬だけに頼ってしまうと、症状が悪化してしまう可能性がありますので注意が必要です。

喘息治療薬は主に、吸うことで薬を直接気道に届ける「吸入薬」が基本となります。正しく使用しなければ十分な効果を発揮することができませんので、吸入方法をしっかりマスターしておくことも重要です。副作用や使用方法への不安や疑問などがありましたら、お気軽にご相談ください。また、日本喘息学会のホームページには吸入方法のページもありますので、動画で確認が可能です。使用に不安がある方はぜひご覧ください。

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