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腎臓内科専門医が解説 慢性腎臓病(CKD)の食事療法 ~腎臓を守るための腎臓食~|
医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科|
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腎臓内科専門医が解説 慢性腎臓病(CKD)の食事療法 ~腎臓を守るための腎臓食~

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腎臓食について、そもそも腎臓食とは何なのか・何に気を付ければよいのか・制限すべき食べ物など、腎臓内科専門医がわかりやすく解説します。

慢性腎臓病(CKD)は、自覚症状が少ないまま進行することが多く、気づいたときには腎機能が大きく低下している場合があります。腎臓には、体内の老廃物や余分な水分を尿として排出する働きのほか、血圧の調整や赤血球をつくる働きを助けるなど、健康を維持するための重要な役割があります。そのため、腎機能が低下すると全身にさまざまな影響が現れます。

慢性腎臓病の治療では、薬物療法だけでなく食事療法が非常に重要です。適切な食事管理を行うことで、腎臓への負担を軽減し、病気の進行を遅らせることが期待できます。ただし、必要な食事内容は腎臓病の進行度や合併症の有無によって異なります。過度な制限は低栄養や筋力低下につながることもあるため、医師や管理栄養士の指導のもとで取り組むことが大切です。

当院では、患者様一人ひとりの病状や生活習慣に合わせた栄養指導を行い、無理なく継続できる食事療法をサポートしています。

この記事のポイント

  • 腎臓病では食事管理が治療の重要な柱になります
  • 減塩はすべてのステージで大切です
  • たんぱく質やカリウムの制限は病状に応じて行います
  • 自己判断で制限せず、医師・管理栄養士と相談しながら続けましょう

腎臓病と食事療法の関係

腎臓の働きが低下すると、体内で生じた老廃物を十分に排出できなくなります。また、塩分や水分の調整機能も低下するため、高血圧やむくみ、心不全などのリスクが高まります。食事療法では主に以下の栄養素に注意します。

塩分

塩分を摂りすぎると血圧が上昇し、腎臓への負担が大きくなります。また、体内に水分がたまりやすくなり、むくみや心臓への負担につながります。一般的には、慢性腎臓病では1日の食塩摂取量を6g未満にすることが推奨されています。ただし、病状によって目標は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

たんぱく質

たんぱく質は筋肉や臓器をつくる大切な栄養素ですが、代謝の過程で老廃物が生じます。腎機能が低下すると老廃物の排出が難しくなるため、病状によっては摂取量の調整が必要になります。一方で、たんぱく質が不足すると筋力や体力の低下につながります。自己判断で過度に制限せず、病状に応じた適切な量を摂取することが重要です。

カリウム

カリウムは体内の水分バランスや血圧を調整する働きがあります。しかし、腎機能が低下すると体内に蓄積しやすくなり、高カリウム血症を引き起こす場合があります。高カリウム血症は不整脈など重篤な症状の原因になることがあります。ただし、すべての患者様にカリウム制限が必要なわけではありません。血液検査の結果に応じて調整します。

リン

リンは骨や歯の健康を保つために必要な栄養素です。しかし、腎機能が低下すると体の中にリンがたまりやすくなります。リンが多くなると、骨が弱くなったり、血管の石灰化が進んだりして、心臓や血管の病気のリスクが高まることがあります。加工食品やインスタント食品、食品添加物を多く含む食品にはリンが多く含まれていることがあるため、食品選びにも注意が必要です。医師や管理栄養士の指導に従い、適切な量を心がけましょう。

水分

塩分やたんぱく質に比べると見落とされがちですが、水分は腎臓の働きを支えるうえでとても重要です。外来診療では、「水分はしっかり摂れていると思っていたが、実際には不足していた」という方が少なくありません。特に高齢の方は喉の渇きを感じにくく、知らないうちに水分不足になっていることがあります。一般的な水分摂取量の目安としては、1日あたり1,500mL程度、汗をかきやすい夏場は2,000mL程度の摂取が望ましいとされています。ただし、すべての方に当てはまるわけではありません。むくみがある方や心不全を合併している方、腎機能の状態によっては、水分摂取量の調整が必要になる場合があります。

👨‍⚕️ 塩路 慎吾 先生(腎臓専門医・指導医)より一言

「腎臓病の食事療法では、塩分やたんぱく質などの調整が必要になることがあります。しかし、何事も過度な制限は禁物です。実際の診療では、「減塩を頑張り過ぎた結果、血液中のナトリウム濃度(血清Na値)が低下してしまった」「たんぱく質を極端に減らしたことで体重減少や筋力低下が進んでしまった」といったケースを経験することがあります。塩分、たんぱく質、カリウム、リンはいずれも本来、体が健康を維持するために必要な栄養素です。大切なのは「制限すること」ではなく、「病状に応じて適切な量を摂ること」です。食事療法は自己判断で行うのではなく、医師による病状の評価と、管理栄養士による具体的な食事指導を組み合わせながら進めることが重要です。当院では、検査結果や生活習慣に合わせて、無理なく継続できる食事療法をご提案しています。不安なことや分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。」

CKDステージ別の食事のポイント

CKDは腎機能を示すeGFR(推算糸球体濾過量)によって分類されます。

ステージ1〜2(eGFR 60以上)——腎機能が比較的保たれている時期

この段階では腎機能は比較的保たれており、日常生活で大きな支障を感じることは少ないかもしれません。しかし、将来的な腎機能低下を予防するためには、この時期からの生活習慣改善が重要です。食事では栄養バランスを整え、塩分の摂り過ぎを防ぐことを心がけます。加工食品やインスタント食品、漬物などは塩分が多く含まれているため注意が必要です。また、高血圧や糖尿病は腎機能低下の大きな原因となるため、適正体重の維持や適度な運動を取り入れながら、血圧や血糖値の管理を行います。

ステージ3(eGFR 30〜59)——腎機能の低下が進み始める時期

ステージ3になると、検査値にも腎機能低下が現れ始めます。症状は少ない場合が多いものの、腎臓への負担を減らすための食事管理がより重要になります。減塩を継続しながら、必要に応じてたんぱく質摂取量を調整します。肉、魚、卵、大豆製品は重要なたんぱく質源ですが、病状によって適切な量が異なります。医師や管理栄養士と相談しながら調整していきます。また、食事量が減るとエネルギー不足や筋力低下を招くことがあるため、主食を適切に摂取して必要なエネルギーを確保することも大切です。

ステージ4(eGFR 15〜29)——腎機能が大きく低下した時期

ステージ4では腎機能がかなり低下し、食事療法の重要性がさらに高まります。老廃物の蓄積や電解質異常が起こりやすくなるため、たんぱく質だけでなく、カリウムやリンの摂取量にも注意が必要になります。カリウムは野菜や果物に多く含まれていますが、ゆでこぼしなどの調理方法によって摂取量を減らすことができます。リンは乳製品や加工食品に多く含まれているため、食品選びも重要になります。また、塩分を控えることで喉が渇きにくくなり、水分管理にも役立ちます。

ステージ5(eGFR 15未満)——保存期腎不全

ステージ5は腎機能が著しく低下した状態です。老廃物や余分な水分が体内に蓄積しやすくなり、全身状態に大きな影響を及ぼします。この時期には、たんぱく質、塩分、カリウム、リン、水分などを総合的に管理する必要があります。制限が多くなる一方で、食事量が減り過ぎると低栄養状態となり、体力や免疫力の低下につながります。そのため、制限だけではなく「必要な栄養をしっかり摂る」という視点も重要です。医師や管理栄養士と相談しながら、病状に合わせた食事内容を継続していきましょう。

👨‍⚕️ 塩路 慎吾 先生(腎臓専門医・指導医)より一言

「腎臓病と診断されると、「これは食べてはいけない」「あれも食べてはいけない」と考えてしまう方が少なくありません。しかし、基本的に腎臓病だからといって絶対に食べてはいけない食材や料理はありません。大切なのは、病状に応じて食べる量や頻度を調整することです。また、お酒や清涼飲料水、お菓子などの嗜好品は、栄養学的には必ずしも必要なものではありませんが、日々の生活を楽しむための大切な要素でもあります。病状に応じた範囲内で、普段の節制へのご褒美として上手に取り入れることは決して悪いことではありません。食事療法で最も大切なのは、「制限すること」そのものではなく、「必要な栄養をしっかり摂りながら腎臓への負担を減らすこと」です。体力や筋力を維持し、毎日の生活を元気に送ることは、腎臓病の治療においても非常に重要です。無理な制限によって低栄養や体力低下を招いてしまっては、本来の目的から離れてしまいます。ご自身の病状に合った食事を続けながら、できる限り腎機能を守り、腎臓の寿命を延ばしていくことが食事療法の目標です。」

CKDステージ別 食事療法の目安(保存期腎不全)

CKDステージ eGFR(mL/min/1.73㎡) 食塩 たんぱく質 カリウム
ステージ1 90以上 6g未満/日 過剰摂取を避ける(1.3g/kg標準体重/日未満) 原則制限なし
ステージ2 60〜89 6g未満/日 過剰摂取を避ける(1.3g/kg標準体重/日未満) 原則制限なし
ステージ3a 45〜59 6g未満/日 0.8〜1.0g/kg標準体重/日 原則制限なし
ステージ3b 30〜44 6g未満/日 0.6〜0.8g/kg標準体重/日 高カリウム血症がある場合は2,000mg/日以下
ステージ4 15〜29 6g未満/日 0.6〜0.8g/kg標準体重/日 高カリウム血症がある場合は1,500mg/日以下
ステージ5(保存期) 15未満 6g未満/日 0.6〜0.8g/kg標準体重/日 高カリウム血症がある場合は1,500mg/日以下

標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22
出典:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」等を参考に作成。

当院の栄養指導について

腎臓病の食事療法は、「何を食べてはいけないか」を考えるだけでは長続きしません。大切なのは、患者様の生活スタイルや嗜好を尊重しながら、無理なく続けられる方法を見つけることです。当院では管理栄養士が患者様やご家族のお話を伺いながら、病状や検査結果に合わせた個別の栄養指導を行っています。外食や中食の利用方法、減塩の工夫、食品選びのポイントなど、日常生活に取り入れやすい方法をご提案いたします。

慢性腎臓病は長期間にわたって付き合っていく病気です。適切な食事療法は、腎機能の維持だけでなく、健康的で充実した生活を支える大切な治療の一つです。食事について不安や疑問がある方は、お気軽に医師・管理栄養士へご相談ください。

※食事療法の内容は患者様ごとに異なります。自己判断による過度な制限は行わず、必ず医師・管理栄養士の指導のもとで実施してください。

腎臓食でよくある質問

Q. 塩分はどのくらいまでなら摂ってよいですか?

慢性腎臓病(CKD)の患者様では、一般的に1日の食塩摂取量を6g未満にすることが推奨されています。塩分を摂り過ぎると血圧が上昇し、腎臓への負担が大きくなります。また、むくみや心臓への負担にもつながります。ただし、病状によって目標量が異なる場合がありますので、主治医や管理栄養士の指示に従いましょう。

Q. 減塩のために気を付けることはありますか?

加工食品やインスタント食品、漬物、佃煮、ラーメンのスープなどには多くの塩分が含まれています。だしや香辛料、酢、レモンなどを活用すると、塩分を減らしてもおいしく食べることができます。また、汁物は飲み干さず具材を中心に食べることも減塩のポイントです。

Q. 腎臓病になったら肉や魚は食べてはいけませんか?

いいえ。肉や魚、卵、大豆製品は体に必要なたんぱく質を含む大切な食品です。ただし、病状によってはたんぱく質の摂取量を調整する必要があります。自己判断で極端に減らすと筋肉量や体力の低下につながるため、適切な量を摂ることが大切です。

Q. 野菜や果物は食べない方がよいのでしょうか?

すべての患者様に制限が必要なわけではありません。野菜や果物にはビタミンや食物繊維などの大切な栄養素が含まれています。腎機能が低下して高カリウム血症がみられる場合には摂取量の調整が必要になりますが、制限の必要性は血液検査の結果によって判断します。

Q. カリウムを減らす方法はありますか?

野菜を小さく切って水にさらしたり、ゆでてから調理したりするとカリウムを減らすことができます。ただし、必要以上に制限すると栄養バランスが崩れるため、管理栄養士の指導を受けながら行うことが大切です。

Q. 水分はたくさん飲んだ方が腎臓によいのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。腎機能や尿量、むくみの有無によって適切な水分量は異なります。特に心不全やむくみがある場合は、水分を摂り過ぎることで症状が悪化することがあります。主治医から指示がある場合は、その範囲内で管理しましょう。

Q. 外食はしてはいけませんか?

外食を完全に避ける必要はありません。ただし、外食メニューは塩分が多い傾向があります。麺類のスープを残す、ドレッシングや調味料をかけ過ぎない、定食では漬物を残すなどの工夫が役立ちます。

Q. アルコールは飲んでもよいですか?

病状や合併症によって異なります。飲酒量が多いと高血圧や肥満の原因となり、腎臓への負担を増やす可能性があります。飲酒習慣がある方は主治医にご相談ください。

Q. サプリメントは利用してもよいですか?

サプリメントの中にはカリウムやリンを多く含むものがあります。また、健康食品や漢方薬の中には腎機能に影響を与えるものもあります。「天然成分だから安全」とは限りませんので、使用前に医師や薬剤師へご相談ください。

Q. 腎臓病の食事療法は一生続けなければなりませんか?

慢性腎臓病は長期間にわたって付き合っていく病気です。食事療法は腎機能の維持や合併症予防に重要な役割を果たします。無理な制限ではなく、ご自身の病状に合った食事を継続することが大切です。当院では管理栄養士による栄養指導を行っていますので、お気軽にご相談ください。

参考文献:日本腎臓学会. CKD診療ガイドライン2024. 日本腎臓学会. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン.

この記事の執筆者

医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科 非常勤医師 塩路 慎吾

医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科

非常勤医師 塩路 慎吾

腎臓内科を専門とし、慢性腎臓病・透析・急性血液浄化など幅広い腎臓疾患の診療経験を持ちます。東京医科歯科大学腎臓内科での研鑽を経て、現在は当院で腎臓内科を担当しています。

経歴・所属学会
長崎大学医学部 卒業
国立国際医療研究センター病院 腎臓内科
東京医科歯科大学腎臓内科 入局
横須賀共済病院 腎臓内科
東京医科歯科大学病院 腎臓内科 特任助教
日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
日本腎臓学会 腎臓専門医・指導医
日本透析学会 透析専門医
日本急性血液浄化学会 認定指導者
難病指定医

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