医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科|
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健診で中性脂肪を指摘された方・脂質異常症が気になる方へ
中性脂肪が高い原因・下げる食べ物ランキングと生活習慣を内科医が解説
中性脂肪の基準値・高い原因・下げる食べ物ランキング・500mg/dL超の緊急性・腎機能との関係まで、腎臓内科・総合内科専門医の院長がわかりやすく解説します。
この記事のポイント
健康診断で「中性脂肪が高いですね」と言われて、不安になっていませんか。中性脂肪(トリグリセリド)は体に必要な脂質ですが、増えすぎると動脈硬化や脂肪肝、さらに高値では急性膵炎のリスクにもつながるため、放置しない方がよい検査値のひとつです。
「お酒が好き」「甘いものや炭水化物をよく食べる」「最近体重が増えてきた」という方は、中性脂肪が上がりやすい背景が重なっているかもしれません。この記事では、日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』をもとに、腎臓内科・総合内科専門医の院長が原因・基準値・下げる方法を丁寧に解説します。
中性脂肪は、グリセロールに3本の脂肪酸が結びついた脂質で、体ではエネルギーの貯蔵形態として使われます。食事でとった脂質だけでなく、余った糖質やアルコールからも肝臓で合成されるため、甘いものや飲酒でも高値になります。
ガイドラインではLDLコレステロールには明確な管理目標値(リスク別に120〜160mg/dL未満など)が設定されていますが、中性脂肪は「150mg/dL未満を目指す」という是正が目標で、LDLに比べると臨床的な優先度はやや低い位置づけです。ただし高値では動脈硬化・膵炎リスクがあるため、決して軽視してよいわけではありません。
中性脂肪は食後に大きく上がる検査項目です。健診の採血が空腹時かどうかで読み方が変わるため、結果を正しく評価するためにこの点の確認が重要です。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「中性脂肪の数値を見るとき、まず確認するのは空腹時の検査だったかどうかです。食後に採血していた場合、数値が高めに出るのは自然なことで、空腹時に改めて測り直すことが正確な評価につながります。」
日本動脈硬化学会の2022年版ガイドラインでは、中性脂肪は空腹時150mg/dL未満、随時175mg/dL未満が基準とされています。
| 区分 | 中性脂肪(TG)の目安 | 意味・対応 |
|---|---|---|
| 正常域 | 空腹時 150mg/dL未満 随時 175mg/dL未満 |
一般的な基準範囲 |
| 高トリグリセライド血症 | 空腹時 150mg/dL以上 随時 175mg/dL以上 |
生活習慣・併存疾患の確認を推奨 |
| 特に注意が必要な高値 | 500mg/dL以上 | 急性膵炎リスクあり。早めに内科を受診 |
⚠️ 中性脂肪500mg/dL以上は「要急受診」
500mg/dL以上の超高値では急性膵炎のリスクが急増します。腹痛・吐き気・発熱などの症状があれば、すぐに内科を受診してください。症状がなくても早めの受診・精査が必要です。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「中性脂肪が高い状態は動脈硬化のリスクになるだけでなく、500mg/dLを超えると急性膵炎という危険な状態になるリスクもあります。腹痛などがある場合は特に急いで受診してください。」
「一方で、中性脂肪は体重と飲酒量にかなり左右されます。LDLコレステロールが体質に影響されやすいのとは異なり、中性脂肪はご自身の努力で数値の改善を見込みやすい項目でもあります。」
中性脂肪が低すぎる場合(50mg/dL未満)は、甲状腺機能亢進症・低栄養・進行した肝疾患などが背景にあることがあります。「低値」と出た場合も一度内科で確認しておくと安心です。
アルコールは中性脂肪を上げる代表的な因子です。ビールだけでなく、日本酒・焼酎・ワインでも飲酒量が多いと肝臓での中性脂肪合成が進みやすくなります。「つまみは控えているから大丈夫」と思っていても、アルコール自体が中性脂肪を増やします。
ポイント:「ビールをやめたから安心」ではなく、アルコール全体の量を控えることが重要です。
白米・パン・麺類・菓子類・清涼飲料水などで糖質を多くとると、余った糖が肝臓で中性脂肪に変換されます。特に果糖を多く含む甘い飲み物は中性脂肪を上げやすく、毎日の習慣は見直しが必要です。
運動不足が続くと脂質の利用が減り、体重増加や内臓脂肪の蓄積とともに中性脂肪が上がりやすくなります。肥満やインスリン抵抗性を伴う場合は中性脂肪高値・HDL低下・脂肪肝が重なりやすいのも特徴です。
中性脂肪高値の背景に、糖尿病・甲状腺機能低下症・腎疾患・ネフローゼ症候群などが隠れていることがあります。また、ステロイド・β遮断薬・利尿薬など一部の薬剤が影響することもあります。内服薬も含めて内科に相談することをお勧めします。
中性脂肪高値は動脈硬化リスクと関連し、「small dense LDL(小型・高密度LDL)」と呼ばれる動脈壁に入り込みやすいLDLが増えやすく、LDL値が正常でも血管ダメージが進む可能性があります。
500mg/dL以上の高値では急性膵炎リスクが大幅に上昇します。腹痛・吐き気・背中の痛みがある場合は特に急いで受診してください。
中性脂肪高値は脂肪肝やメタボリックシンドロームとも深く関連します。ALT上昇・血糖高値・腹囲増加も一緒に指摘されている場合は、生活習慣全体を見直すタイミングです。肥満を合わせて持つ方の体重管理については、マンジャロによる肥満症治療の記事も参考にしてください。
中性脂肪を下げるためには、「特別な健康食品」よりも毎日の食事パターンを整えることが基本です。ガイドラインでは、適正エネルギー摂取・飽和脂肪酸を控えること・魚や大豆・食物繊維を上手に取り入れることが推奨されています。
| 順位 | 食品・食材 | 期待できる点 | 取り入れ方の目安 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 青魚(さば・いわし・さんま) | EPA・DHAが豊富。脂質代謝改善に役立つ | 週2〜3回を主菜に |
| 2位 | 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳) | たんぱく源として動物性脂肪を置き換えやすい | 毎日1品を目安 |
| 3位 | 野菜類 | 食物繊維が食べ過ぎ予防に役立つ | 毎食1皿以上 |
| 4位 | 海藻・きのこ | 低カロリーで食物繊維を補いやすい | 副菜として追加 |
| 5位 | オートミール・もち麦 | 主食の質を改善しやすい | 白米の一部を置き換える |
| 6位 | 無糖ヨーグルト | 間食を甘い菓子から置き換えやすい | 砂糖なしで食べる |
| 7位 | ナッツ類(無塩) | 間食の質を変えやすい | 少量を習慣化 |
| 8位 | オリーブ油 | 動物性脂肪の置き換えに使いやすい | 炒め物・サラダに少量 |
| 9位 | 緑茶・水 | 甘い飲み物の置き換えになる | 毎日の飲み物を変更 |
| 10位 | 卵・赤身肉(脂少なめ調理) | 主菜を極端に抜かず調整しやすい | 揚げ物より焼く・蒸す |
| 控えたいもの | 理由 |
|---|---|
| 清涼飲料水・加糖コーヒー・ジュース | 果糖・糖質が多く、中性脂肪上昇につながりやすい |
| お菓子・ケーキ・菓子パン | 糖質と脂質を同時にとりやすい |
| 白米・麺類の大盛り | 炭水化物過多になりやすい |
| ビール・日本酒・焼酎・ワインの多量飲酒 | アルコール自体が中性脂肪合成を促進する |
| 揚げ物・脂身の多い肉の頻回摂取 | 総エネルギー過多につながりやすい |
青魚に多いEPA・DHAは中性脂肪改善に役立つ脂肪酸としてガイドラインでも言及されています。数値が高い場合には医療用のEPA製剤(イコサペント酸エチル)が処方されることもあります。
速歩・軽いジョギング・自転車・スイミングなどの有酸素運動を週150分程度続けると、中性脂肪の改善やHDL上昇が期待できます。中性脂肪はLDLコレステロールよりも運動で下がりやすい項目です。
体重を5〜10%程度減らすだけでも、中性脂肪・脂肪肝・血糖の改善が期待できます。急激な減量より継続できる方法を選ぶことが大切です。
毎日飲んでいる方では、禁酒や節酒の効果が数値に表れやすいことがあります。まず「休肝日を週2日作る」「1回量を減らす」といった調整が現実的です。
生活習慣の是正で十分に下がらない場合や著しい高値・他のリスク因子を伴う場合には薬物療法が検討されます。
中性脂肪を下げる代表的な薬ですが、腎機能や他の薬との兼ね合いに注意が必要です。特にスタチン(LDLを下げる薬)との併用では横紋筋融解症のリスクが高まることがあります。
医療用の魚油成分を精製した薬で、中性脂肪低下に加えて心血管イベント抑制のエビデンスもあります。食後に服用し、青魚を増やす食事療法の代替・補助として使われます。
脂質異常の中ではLDLコレステロールが腎機能悪化にもっとも関与するとされていますが、中性脂肪が高い状態も腎機能悪化のリスクとなります。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「脂質異常の中ではLDLが一番腎機能悪化に関与するとされていますが、中性脂肪が高い状況も腎機能悪化のリスクとなります。中性脂肪の治療薬(フィブラート系など)は腎機能が悪いと使用しづらい薬剤もあります。その場合はまず体重管理や節酒などの生活習慣の改善が優先されます。腎機能が低下している方はとくに、自己判断でサプリや薬を追加しないことが大切です。」
| 検査項目 | わかること |
|---|---|
| 血液検査(TG・LDL・HDL・non-HDL) | 脂質全体を評価。空腹時採血が重要 |
| 血液検査(血糖・HbA1c・肝機能・腎機能) | 糖尿病・脂肪肝・腎疾患の合併を確認 |
| 甲状腺機能検査 | 甲状腺機能低下症による二次性高中性脂肪の除外 |
関連診療ページ
必要かどうかは数値の程度と、糖尿病・肥満・脂肪肝・飲酒量などを合わせて判断します。軽度上昇ならまず生活習慣改善を優先することが多いですが、繰り返す高値や500mg/dL以上では早めの受診が必要です。
果物そのものを過度に恐れる必要はありませんが、果糖を多く含む飲料や果物のとり過ぎは中性脂肪上昇の一因になります。ジュースより果物を適量で食べる方が勧められます。
はい、早めの受診が必要です。急性膵炎のリスクが上がるため、腹痛や吐き気がある場合は特に急いで受診してください。
飲酒が主な原因の方では節酒・禁酒で改善することは少なくありません。ただし糖質過多や体重増加など他の要因も重なっていることが多いため、食事や運動も一緒に見直すことが大切です。
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本記事は、日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」を踏まえ、日常診療の視点から監修しています。
※症状・数値・内服薬の状況によって適切な管理は異なります。自己判断で服薬を開始・中断せず、医療機関でご相談ください。