医療法人社団悠正会 ゆう徳丸内科皮膚科|
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雨の日や低気圧のたびに頭痛がひどくなる方へ
低気圧頭痛(気象病)の原因・なぜ起こるか・治し方・コーヒーの効果・五苓散・市販薬の選び方まで総合内科専門医が解説。板橋区 ゆう徳丸内科皮膚科。
この記事のポイント
「雨の日や台風が近づくと決まって頭が痛くなる」——そんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。低気圧の変化に伴って頭痛やだるさ、めまいなどが起こる状態は一般に「気象病」とも呼ばれ、特に片頭痛のある方では症状が出やすいことが知られています。
この記事では、日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」をもとに、内科専門医の院長が低気圧頭痛の原因・なぜ起こるか・治し方・コーヒーは本当に効くのかをわかりやすく解説します。
低気圧頭痛は、気圧の変化そのものが痛みを直接つくるというより、気圧変化を感じ取る仕組みが神経系に影響し、もともと片頭痛を起こしやすい体質の方で発作が誘発されると考えられています。内耳が気圧変化のセンサーとして機能しており、急な気圧低下を「異常」として感知すると自律神経が乱れ、脳の血管や神経系に影響して頭痛が起こりやすくなります。
気象病は、気圧だけでなく気温・湿度・季節の変化など天候の変化に関連して起こる不調の総称です。その中でも低気圧頭痛は頭痛を主症状とするタイプを指し、実際には片頭痛やめまい、全身倦怠感を伴うこともあります。
低気圧頭痛は、もともと片頭痛がある方、めまいや乗り物酔いを起こしやすい方(内耳が敏感な方)、睡眠不足やストレスの影響を受けやすい方で目立ちやすい傾向があります。女性に多く、自律神経機能の変動が片頭痛に関与することも以前から知られています。
低気圧頭痛が出てきたときは、まず暗く静かな場所で休み、無理を減らすことが基本です。片頭痛では光や音の刺激で悪化しやすいため、睡眠不足を補い、軽い脱水を避けるために水分をとることも現実的な対策になります。吐き気が強い場合は、無理に飲食せず横になって休むことが先決です。
「低気圧頭痛にコーヒーが効く」という話をよく耳にします。コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる働きや鎮痛補助の作用があり、一部の片頭痛では少量を早めに飲むことで痛みが一時的に和らぐことがあります。そのため、楽になる方がいるのは不思議ではありません。ただし、誰にでも効くわけではなく、効いても「その場しのぎ」で頭痛の根本原因が治るわけではありません。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「カフェインの取りすぎは逆に頭痛を誘発する可能性があるので、飲みすぎは逆効果です。試すとしても1日2〜3杯を上限と考えておいた方がよいでしょう。」
「なお、高血圧がある方はカフェインが血圧を上昇させることがあるため、コーヒーでの対処はより慎重に。少量にとどめる、夕方以降は避けるといった対策が必要です。血圧が高めの日はコーヒーではなく適切な薬で対処することを勧めています。」
市販薬では、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの鎮痛薬が一般的ですが、片頭痛のタイプによっては十分に効かないことがあります。一方、トリプタン系は片頭痛に特化した治療薬で、発作早期に使うことで効果が期待できますが、医療機関での処方が必要です。自分の頭痛がどのタイプかを把握しておくことが重要です。
頭痛がつらいからといって鎮痛薬を頻回に使い続けると、かえって頭痛が慢性化する「薬物乱用頭痛」を起こすことがあります。ガイドラインでも薬剤使用過多による頭痛は重要な診断・治療対象として扱われており、月に何度も市販薬を使っている場合は一度内科で相談することが勧められます。
低気圧頭痛のある方では、気圧変化の前に症状が出やすいことがあるため、天気予報や気圧予報アプリで変化を事前に把握しておくことが対策になります。発作が起こりやすい日を予測できると、睡眠確保や予定調整、頓用薬の準備がしやすくなります。
片頭痛の予防では、睡眠の乱れ・空腹・脱水・過度の疲労を避けることが基本です。低気圧頭痛でも同様で、体調の土台が崩れていると気圧変化の影響を受けやすくなります。特別な方法だけに頼るのではなく、毎日の生活リズムを整えることが予防の土台です。
内耳が気圧変化の感知に関わる可能性が示されているため、耳周囲のマッサージや耳を軽く引っ張るセルフケアが紹介されることがあります。ただし、こうした方法は補助的な対策として考えるべきで、強い科学的根拠が確立しているわけではありません。あくまで試してみる選択肢の一つです。
五苓散は、頭痛診療や気象関連症状で用いられることのある漢方薬で、気圧変化により誘発されやすい頭痛に有効だったとする報告があります。ただし、現時点では経験的使用や観察研究の要素も大きく、すべての方に同じように効くわけではありません。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「雨や気圧の変化で頭痛とめまい・むくみが強くなるタイプでは、五苓散が効きやすいという報告があり、実臨床でも”天気痛”に使うことがあります。基本は1回2.5gを毎食前に内服しますが、頭痛が出そうな感じがするときに頓服的に使用しても効果がある可能性も示唆されています。」
「ただし、すべての低気圧頭痛に効くわけではないので、体質・症状パターンをみて合いそうなら試す、という位置づけになります。自己判断ではなく、診療の中で適否を判断するのが安全です。」
低気圧頭痛の多くは、気圧変化を誘因とする片頭痛として理解すると臨床的に整理しやすくなります。片頭痛は三叉神経血管系や神経ペプチド、自律神経機能の変化が関わる頭痛であり、低気圧はその発作を引き起こす引き金の一つです。
高血圧のある方が頭痛を訴えると「血圧のせい」と思われがちですが、実際には片頭痛や緊張型頭痛など別の頭痛が背景にあることも少なくありません。一方で、著明な血圧上昇や神経症状を伴う場合は二次性頭痛の評価が必要になるため、いつもと違う頭痛は放置しないことが大切です。低気圧時には交感神経変動や不安・不眠で血圧が一過性に上がることがあり、頭痛と家庭血圧の記録をセットで確認することが重要です。
👨⚕️ 院長・吉田 悠 からのひとこと
「高血圧がある方が低気圧頭痛を訴えてきたとき、まず確認するのは『突然発症ではないか』『手足のしびれや呂律が回らないなどの神経症状はないか』『これまでに経験したことのない強さの頭痛か』という点です。これらに当てはまる可能性があれば、すぐに救急病院へ搬送します。」
「ロキソニンなどのNSAIDsの長期・多用は腎機能や血圧に影響しうるため、高血圧・CKDがある患者では使用頻度と腎機能をモニタリングしながら、トリプタンや予防薬・漢方などを組み合わせて鎮痛薬の乱用を防ぐことが重要です。」
「また、頭痛はメンタル面にも大きく左右される疾患です。実際に、治療薬とプラセボを比較した臨床試験では、プラセボでも頭痛の回数が有意に減ることが多いことが知られています。これは『薬を飲んでいるから効いているに違いない』というマインドが影響しているためです。そのため、頭痛診療は医師の立場から見ても難しい疾患の一つです。」
頭痛の中には、くも膜下出血・髄膜炎・脳血管障害など緊急対応が必要な二次性頭痛が含まれます。突然の激しい頭痛、発熱、麻痺、ろれつが回らない、意識障害、いつもと明らかに違う頭痛がある場合は、天候との関連よりも緊急性を優先して受診してください。頭痛全般については頭痛が続くとき何科に行くべきかもあわせてご覧ください。
片頭痛を起こしやすい体質の方では、気圧変化が誘因になって毎回のように症状が出ることがあります。ただし、毎回同じように見えても他の頭痛が隠れていることはあるため、頻度が増えているときは評価が必要です。
カフェインの血管収縮・鎮痛補助作用により一時的に楽になることがあります。ただし誰にでも有効とは限らず、頻回摂取はかえって頭痛管理を難しくするため、頼りすぎないことが大切です。
軽い発作では市販薬が役立つことがありますが、毎回必要になるなら治療の見直しが必要です。効きにくい場合や使用回数が多い場合は、片頭痛に合わせた処方薬を検討します。
相談できます。頭痛の種類や危険なサインを整理し、必要に応じて専門科との連携や検査を考える入口として内科受診は有用です。
効く方はいますが、全員に同じ効果があるとは言えません。漢方の適応は体質や症状の組み合わせが重要なため、自己判断ではなく診療の中で適否を判断するのが安全です。
繰り返す頭痛は市販薬だけで対処し続けず、内科でご相談ください。
本記事は、日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」を踏まえ、日常診療の視点から監修しています。
※症状・状況によって適切な対応は異なります。自己判断での市販薬の長期服用は避け、繰り返す頭痛は医療機関でご相談ください。