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慢性腎臓病(CKD)とカリウム|高カリウム血症の食事・治療を腎臓専門医が解説
高カリウム血症の症状・原因・カリウムの多い食品・カリウムを下げる調理の工夫・治療薬まで、最新の腎臓病ガイドラインに基づき腎臓内科専門医がわかりやすく解説します。
慢性腎臓病(CKD)では、腎機能の低下に伴い体内にカリウムが蓄積しやすくなります。高カリウム血症は重症化すると不整脈や心停止の原因となるため注意が必要です。一方で近年の研究では、「カリウムを多く含む食品を一律に制限する」のではなく、食品の種類や吸収率、食事全体の質を考慮した管理が重要と考えられるようになっています。
特に野菜や果物には、食物繊維・ビタミン・抗酸化物質・腸内環境改善作用など多くの健康効果があり、血液中のカリウム値が安定している患者さんでは過度な制限は推奨されません。本ページでは、最新の腎臓病診療ガイドラインや研究結果をもとに、カリウムとの付き合い方について分かりやすく解説します。腎臓病の食事療法全体については、腎臓食とは?塩分・たんぱく質・カリウム・リンの基本もあわせてご覧ください。
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この記事のポイント
カリウムは体内で最も重要なミネラルのひとつです。主な役割は、心臓の拍動維持・神経伝達・筋肉収縮・血圧調節・細胞機能維持です。健康な方では、余分なカリウムは腎臓から尿として排泄されます。
腎機能が低下すると、尿中へのカリウム排泄が低下し、体内にカリウムが蓄積して血清カリウム値が上昇します。この状態を高カリウム血症といいます。
👨⚕️ 塩路 慎吾 先生(腎臓専門医・指導医)より一言
「先生、腎臓が悪いと言われたので、果物は全部やめました」——腎臓内科の外来をしていると、このように話される患者様が少なくありません。ある患者様は、健康のために毎日食べていた果物やサラダをやめ、食事の楽しみまで失っていました。しかし血液検査を確認すると、カリウム値は正常範囲内でした。一方で、別の患者様では果物の摂取量は多くないにもかかわらず、高カリウム血症を認めました。詳しく確認すると、便秘が続いていたことや、腎臓を保護するためのお薬が影響していたことが分かりました。このように、「腎機能が低下した=全員にカリウム制限が必要」というわけではありません。大切なのは、「果物や野菜をやめること」ではなく、「自分の腎臓の状態を知ること」です。血液検査の結果、食事内容、便通の状態、使用しているお薬を総合的に確認しながら、その方に合った方法で管理していくことが重要です。」
実は、CKDだから全員がカリウム制限を行うわけではありません。現在の考え方では、「血液中のカリウム値をみながら個別に調整する」ことが基本です。なお、ご自身の腎機能の段階(eGFRによるCKDステージ)については、eGFRとは?基準値・CKDステージの解説記事もあわせてご覧ください。塩分・たんぱく質・水分など他の栄養素も含めた食事療法全体は、腎臓食とは?CKDステージ別の食事のポイントで解説しています。
| ステージ | 制限 | カリウム摂取目安 | 気を付けるポイント |
|---|---|---|---|
| CKD G1〜G2 (eGFR 60以上) |
原則不要 | — | 野菜・果物を適切に摂取 |
| CKD G3a〜G3b (eGFR 30〜59) |
厳格な制限不要 | 2,000〜3,000mg/日程度を参考に個別調整 | 血清カリウム値を定期確認、加工食品・ジュース類を減らす |
| CKD G4 (eGFR 15〜29) |
比較的必要 | 1,500〜2,000mg/日程度を参考に個別調整 | 高カリウム血症が出現しやすい、食品選択や調理法の工夫 |
| CKD G5 (eGFR 15未満) |
厳密な管理必要 | 1,500mg/日前後 | 管理栄養士による指導推奨 |
カリウムが高くなると、次のような症状が起こることがあります。
重症では心停止の危険があります。このような症状を認めた際には、早めに医療機関を受診してください。
近年の研究では、植物由来のカリウムは必ずしも高カリウム血症を起こしやすいわけではないことが報告されています。反対に、ジュース・サプリメント・加工食品などは吸収率が高く、血清カリウム上昇に影響しやすいと考えられています。
現在の国際的な腎臓病ガイドラインでは、次のことが推奨されています。
| カリウムの吸収率 | 食品例 |
|---|---|
| 高いもの | 野菜ジュース、スムージー、サプリメント、栄養補助食品、カリウム付加食品、低ナトリウム塩 |
| 比較的低いもの | 生野菜、茹で野菜、豆類、果物、全粒穀物 |
なお、植物性食品は食物繊維による恩恵も期待できます。
カリウムの吸収率の観点から、積極的に取り入れたい食品と、量に注意したいカリウムの多い食べ物・飲み物を整理します。
| 種類 | 食品例 |
|---|---|
| 野菜 | キャベツ、レタス、きゅうり、玉ねぎ、カリフラワー |
| 果物 | りんご、ブルーベリー、いちご、ぶどう |
| 良質な脂質 | オリーブオイル |
| 植物性タンパク質 | 豆腐、大豆製品、おから |
| 種類 | 食品例 |
|---|---|
| 野菜 | アボカド、いも類、ほうれん草、かぼちゃ |
| 果物 | バナナ、ドライフルーツ、メロン |
| 飲み物 | 野菜ジュース、青汁、スムージー(緑茶は多飲時のみ注意) |
| 調味料 | 低ナトリウム塩 |
カリウムは水に溶ける性質があるため、水にさらす・茹でるなどの工夫で摂取量を減らすことができます。以下に代表的な工夫をまとめます。
野菜を小さめに切り、たっぷりのお湯で茹でるとカリウムが茹で汁に溶け出します。茹でた後の汁は使わずに捨てるようにしましょう。
ほうれん草や小松菜などの葉物野菜は、一度茹でてから水にさらすことでさらにカリウムを減らすことができます。
じゃがいもやさつまいも、大根などは切った後に水にさらしてから調理すると、カリウムを減らす効果が期待できます。
カリウムは煮汁にも溶け出します。野菜たっぷりのスープや鍋料理では、具材だけでなく汁にもカリウムが含まれるため注意が必要です。
サラダだけにこだわらず、茹でる・煮る・蒸すなどの加熱調理を取り入れることで、カリウムを減らしながら野菜を摂取できます。
👨⚕️ 塩路 慎吾 先生(腎臓専門医・指導医)より一言
カリウム管理というと、「食べてはいけないもの」を考えがちですが、実際には「安心して食べるための工夫」がたくさんあります。少しの知識と調理の工夫で、食事の楽しみを保ちながらカリウムと上手に付き合うことができます。大切なのは、無理に我慢することではなく、ご自身の生活に合った方法を続けることです。当院では管理栄養士による栄養指導を月1回の頻度で行っています。ご自宅でできる調理の工夫や、外食時のメニュー選びのポイントなど、一人ひとりの生活スタイルに合わせてアドバイスしています。「何をどのくらい食べてよいのか分からない」「外食が多くて不安」といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。一緒に、無理なく続けられる食事管理を考えていきましょう。
実臨床では、食事より便秘や薬剤、体の状態が原因のことも少なくありません。
便の中にもカリウムは排泄されています。便秘が続くとカリウムが体内にたまりやすくなります。
腎臓や心臓を守るための薬の中には、カリウムを上げやすいものがあります。良い薬であっても、定期的な血液検査が大切です。
腎臓は余分なカリウムを尿として排泄しています。腎機能が低下すると、カリウムが体内に蓄積しやすくなります。腎機能の評価については、クレアチニンが高い原因・基準値とは?もあわせてご覧ください。
発熱や下痢、食欲低下などで脱水になると、腎臓の働きが一時的に低下し、カリウムが上昇することがあります。
血糖値が著しく高い状態では、細胞の中にあるカリウムが血液中へ移動し、カリウム値が高くなることがあります。
カリウム値に影響するお薬には、次のようなものがあります。
特にACE阻害薬、ARB、MRAは、腎臓を守る効果(腎保護作用)が証明されている大切なお薬です。腎機能の悪化を抑えたり、尿たんぱくを減らしたりする効果が期待できるため、慢性腎臓病の治療において重要な役割を担っています。
これらのお薬を使用中にカリウム値が上昇することがありますが、「カリウムが高いから」と自己判断で中止することは避けてください。 お薬を急にやめることで、かえって腎機能の悪化や心血管疾患のリスク上昇につながる可能性があります。カリウム値が高くなった場合は、食事内容の見直しや便秘の改善、カリウムを下げる治療などを組み合わせながら、お薬を安全に継続できる方法を検討します。
高カリウム血症の治療には、食事療法、加工食品や高吸収率食品の見直し、便秘治療、腸管からの排泄促進などがあります。特にコントロールの難しい高カリウム血症では、腸の中でカリウムを吸着し、便と一緒に体の外へ排泄するお薬(カリウム吸着薬)が使用されます。
比較的新しいカリウム吸着薬です。
特徴
注意点
長年使用されているカリウム吸着薬です。
特徴
注意点
カリメートと同様に古くから使用されているお薬です。
特徴
注意点
👨⚕️ 塩路 慎吾 先生(腎臓専門医・指導医)より一言
「カリウムが高いので、何か食べ過ぎましたか?」——外来でよく聞かれる質問ですが、実はカリウム値は食事だけで決まるわけではありません。例えば、普段の食事内容がほとんど変わっていないのに、血液検査でカリウムが高くなることがあります。そのような場合は、食事以外の原因が隠れていることも少なくありません。そのため、便秘や薬剤等の原因を検索し、原因となっていることがあれば、それに対して介入していきます。高カリウム血症の治療薬にはそれぞれ特徴があり、どのお薬が適しているかは腎機能や便通の状態、合併症、内服中のお薬によって異なります。カリウムを下げる治療の目的は、単に数値を下げることではありません。腎臓や心臓を守る大切な治療を安全に続けるために、一人ひとりに合った方法を選ぶことが大切です。
板橋区・東武練馬でカリウム値が気になる方へ
血液検査でカリウム値・腎機能を確認し、無理のない食事管理をご提案します
当院は東武練馬駅・下赤塚駅から徒歩圏内の腎臓内科です。腎臓専門医が原因を評価し、管理栄養士による個別の栄養指導も月1回行っています。
禁止ではありません。血液検査結果に応じて量を調整します。
いいえ。現在は野菜を一律に禁止する考え方ではありません。
むしろ注意が必要です。吸収率が高く、一度に多量のカリウムを摂取してしまいます。
あります。便秘改善だけでカリウム値が改善することもあります。
必ずしもそうではありません。多くの場合は食事・薬剤・便秘管理で改善可能です。
少量であれば食べられる方も多くいます。個別評価が必要です。
通常量(1〜2杯/日程度)であれば問題ないことが多いですが、進行したCKDでは主治医にご相談ください。
自己判断での多量飲水はおすすめできません。心不全や腎機能によっては逆効果となる場合があります。
ご予約はWebから24時間受け付けています
板橋区・練馬区で腎臓の食事にお悩みの方はご相談ください
健康診断や血液検査でカリウムが高いと指摘された方、慢性腎臓病(CKD)で食事の管理に不安がある方は、ゆう徳丸内科皮膚科の腎臓内科をご利用ください。
当院では、腎機能・血清カリウム値・便通・内服薬を総合的に評価し、管理栄養士による月1回の栄養指導とあわせて、一人ひとりに合った食事管理をご提案しています。板橋区徳丸・赤塚・練馬区で腎臓の食事が気になる方は、お気軽にご相談ください。
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本記事は、最新の慢性腎臓病(CKD)診療ガイドラインおよび関連研究を踏まえ、腎臓内科専門医(塩路 慎吾)が執筆しています。
※腎機能やカリウム値の状態によって適切な対応は異なります。自己判断せず医療機関へご相談ください。