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こんにちは。今日は花粉症の治療についてお話をしていこうと思います。
2月になり、少しずつ暖かくなる日も増えてきました。今年は、昨年夏が猛暑だった影響もあって、花粉症の飛散が多くなると予想されています。2月になってから、花粉症の治療を希望される患者さんが非常に増えてきた印象があります。
花粉症の治療は大きく分けて二つに分けられます。それは、根本治療を目指す『舌下免疫療法』と一時しのぎをするいわゆる『対症療法』に分けることができます。『舌下免疫療法』に関しては下記ブログをご参照ください。
今日は根本治療ではない『対症療法』についてお話をしていきます。
根本治療ではないとは言っても、非常に重要な治療です。『舌下免疫療法』は3-5年の時間がかかるだけでなく、毎日薬を続けなければいけないこともあって、決して楽な治療ではありません。仕事が不規則な人やもともと飲み忘れをしてしまう人などはあまり治療には向かず、そもそも『対症療法』だけである程度我慢できる人は、無理に『舌下免疫療法』までやる必要もないかと思います。『舌下免疫療法』と『対症療法』は患者さんの状態などを見て、じっくりと主治医と相談してどちらを選ぶか決めるのが良いでしょう。
では、対症療法についてお話をしていきます。
基本となる薬は内服薬ですね。まずは、日本アレルギー学会から出されている花粉症の治療ガイドラインを見ていきましょう。
①第2世代抗ヒスタミン薬
②抗ロイコトリエン薬(例:オノン®、キプレス®、シングレア®)
③経口ステロイド薬(例:セレスタミン®)
④ケミカルメディエーター抑制薬
⑤Th2サイトカイン阻害薬
⑥抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
⑦漢方製剤(例:小青竜湯®)
⑧鼻噴霧用ステロイド薬
⑨点眼薬(例:ケミカルメディエーター抑制薬、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド薬)
非常に多くの薬がありますね。今日はこの中の花粉症治療の主役である第2世代抗ヒスタミン薬について、違いを解説していきます。
花粉症治療の根幹をなす第2世代抗ヒスタミン薬とは?
花粉症治療の中の根幹をなすものになります。『第2世代』があるのであれば、もちろん『第1世代』もあります(第一世代抗ヒスタミン薬の代表格はポララミン®であり、内服したことがある患者さんも多いかもしれません)。しかし、抗ヒスタミン薬は眠気、のどの渇き、便秘などの副作用が付きものでした。それらの副作用は抗コリン作用と言われるものによって起きていたのですが、第2世代になることでそのような副作用はだいぶ抑えられるようになりました。第2世代抗ヒスタミン薬には『アレグラ®』『クラリチン®』『アレジオン®』『タリオン®』『アレロック®』『ビラノア®』『ルパフィン®』『ザイザル®』『デザレックス®』などが代表的な薬として挙げられます。
どのように薬を選んでいくかは特に決まりはありません。新しい薬や効果が高いと実感する人が多い薬が必ずしも万人にとって効果が高いわけでもなく、どうしても薬の効きにも個人差があるので、薬の特徴を中心にいくつか焦点を絞って記載していきます。
①眠気
これは気にされる方が非常に多いですね。第二世代の抗ヒスタミン薬はだいぶ眠気の副作用は少なくなってきましたが、それでも多少の眠気は出てきます。普通に考えれば眠気は出ないに越したことはありません。眠気が出にくいと言われているのは下記の薬あたりですね。運転に支障がない薬も下記と考えてよいです。
②内服の回数
次に気にされる方が多いのは、薬の飲む回数ですね。薬をしっかり飲むことができるか(≒『アドヒアランス』と言います)を考えると、1日に飲む回数が少なければ少ないに越したことはありません。飲む回数は、おおむね1日1回または1日2回にわけられます。1日1回のほうが必ずしもいいわけではありませんが、忘れないようになるべく簡単なほうがいいですね。1日1回で済む薬は下記のようなものになります。
③飲むタイミング
簡単に分けると、空腹時のほうがよい内服薬と食後で問題ない内服薬があります。効果も期待でき、眠くならず1日1回で済むという大きなメリットがあるビラノア®ですが、ビラノア®は空腹時に飲むことが条件になります。私が処方するときは、眠前の処方にしていますが、たくさんお酒を飲む人(内服を忘れる可能性がある)、夕食を食べた後にすぐ寝てしまう人(働いていて帰りが遅い人など)は、おすすめできないかもしれません。アレグラ®に関しては、食後投与もできるとされていますが、吸収が悪くなる可能性があり、効果が薄いと感じる人は食前で試してみるのもいいかもしれません。
④子供
小さなお子さんの場合、年齢によって量が変わる薬もあります。比較的よく処方される薬は以下の薬になります。お子さんは学校の授業中に眠くなったりすると学業に支障が出る可能性もあるため、やはり眠くなりにくい薬をお勧めしています。その視点からすると、アレグラ®やクラリチン®は非常に使いやすい薬と言えると思います。
⑤妊娠・授乳中
妊娠中でも内服できる薬はだいぶ多くなってきており、基本的には問題ないものも多いです。ただし、100%影響がないかどうか、というのはわかりません。どうしても副作用は、その患者さんが初めて起きる副作用、というケースもあるからです。基本的にはスギ花粉にさらされないようにする生活を心掛けるというのが基本となり、それでも症状が出る際には、点鼻薬や点眼薬を先に使用し、それでも症状が改善しないときに内服薬を用いる、というのがよいと思います。ただし、内服薬を用いる場合は妊娠5か月以降が望ましいでしょう(胎児への催奇形性の可能性があるため)。
どうしても内服せざるを得ない場合は、以前から多く処方されており、データが蓄積されているものを挙げておきます。授乳中も下記のものであれば、影響はまずないとされています。授乳中も同様です。
いくつかの視点から、まずは花粉症治療の中心である第2世代抗ヒスタミン薬を解説しました。数多くの第2世代抗ヒスタミン薬が発売されていますが、それぞれ特徴があり、また、いわゆる『OTC=Over the counter=一般用医薬品』として薬局で購入できるものも増えてきています。花粉症で悩まれる方は多いので、早めに自分に合う薬を見つけたいものですね。根治治療を目指す『舌下免疫療法』も併せてご検討ください。
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