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こんにちは。今日は尿検査の重要性について書いていきます。
尿検査は学校検診でも必ず入っているように、子供のころから健康診断に組み込まれている非常に重要な検査です。みなさん、毎年検尿コップで朝から尿を取った経験は記憶にあるのではないでしょうか?また、成人してからも健康診断というと必ずと言っていいほど尿検査は組み込まれています。では、具体的に尿の何を見て、何を調べているのでしょうか?
尿の検査からは多くのことがわかります。例えば、たんぱくが出ているか、血が混じっているか、糖が混じっているか・・・、などですね。尿を作る過程では多くの臓器がかかわっていますが、その主役は『腎臓』になります。そのため、尿検査≒腎臓の病気があるか判断する検査、と言ってもいいと思います。
学校検診や健康診断で行う尿検査は、簡単に言えば、尿に試験紙をつけて色の変化を見る、という非常に簡易的な検査です。しかし、簡易的だからこそ、多くの人に行うことができ、なおかつ自分で検体を取ってくることができるため、時間もかからない、非常に効率的な検査であると言えます。色の変化を見るだけのため、多くのことはわかりませんが、例えば、通常では尿の中にはたんぱく、血、糖分などは検出されないため、検出されれば精密検査に回る、検出されなければ(多くの場合)異常なし、ということになるため、病気があるかないか調べるだけであれば非常に楽ですよね。では、ここではたんぱく、血が混じっていた時にどのような病気が疑われるか、解説していこうと思います。
1. たんぱく尿
通常尿からはほぼたんぱく尿は漏れないため、検出されるだけで異常となります。たんぱく尿が検出される病気としては、糖尿病や高血圧、肥満、慢性糸球体腎炎など、放っておくと腎不全になってしまう病気も多く存在します。必ずしも『たんぱく尿がある=腎臓病である』ではありませんですが、病的なものかどうかを見極めるためにも必ず腎臓専門医を受診することをお勧めします。病的意義が少ないものとしてよくあるものは、健診を受ける際は食事や水分を摂っていないことが多いため軽度の脱水を起こしていることによる濃縮尿のため、たんぱくが出ているように色の変化をしてしまうこと、が代表的なものとして挙げられます。
2. 尿潜血
こちらも、正常の尿では検出されないため、検出されるだけで異常となります。また、たんぱくと同様に病的意義が少ない尿潜血もありますので、正常範囲なのか、それともなんらかの病気なのか、見極める必要があります。
3. 尿糖
こちらも、正常の尿では検出されませんが、主に検出される理由としては、概ね血糖値 180mg/dl以上であるとき、腎性尿糖(血糖値は正常であるが、尿糖が検出されることがあります。病的意義はありません。)、糖尿病の治療薬としてSGLT2阻害薬を内服しているとき、の3つがあげられます。糖尿病があるかどうかを簡単にチェックする検査として有用ですが、糖尿病の診断をつけるためには採血が必須になるため、尿糖だけでは参考にしかなりません。
Q. 異常があったときにどのような検査を行いますか?
検尿異常で引っかかった際には試験紙で色の変化のみを見ていることが多いため、もう少し詳細な検査を行います。具体的には、例えばたんぱくが出ているのであれば何グラムでているのか、血が出ているのであればそれは顕微鏡で見るとどれくらい赤血球が見えるのか、円柱と言われる異常な成分が出ていないか、がん細胞などが出ていないか、あとは超音波を使って腎臓や膀胱などの尿が通過する部分に異常な構造物などがないか、などをチェックします。また、健診で採血を行っていれば採血項目のチェック、採血をしていなければ必要に応じて採血で腎機能のチェックを行います。
当院では上記の検査がすべて可能です。すべてチェックした上で、さらに精密検査が必要な場合には、『腎生検』という検査を行います。腎生検とは、なぜたんぱく尿が出ているのか、なぜ血尿が出ているのか、なぜ腎臓の機能が落ちているのか、などを確定診断させるための検査であり、この検査以外では確定診断はつきません。腎生検はクリニックで行える検査ではないため、必要な場合には適切な総合病院へご紹介いたします。また、ガンなどの悪性疾患や大きい尿管結石が疑われた場合は、こちらも泌尿器科で精密検査が必要になるため、総合病院へご紹介いたします。
いかがでしたか?簡単に行っている尿検査ですが、腎臓病を見つけるためには非常に重要な検査です。異常が出てもなかなか痛い、苦しいなどの病気ではないため病院受診が後回しになりがちですが、腎臓病は放っておくと治療ができなくなる、最終的には透析になってしまう非常に怖い病気の一つです。健診でたんぱく尿、尿潜血(尿に血が混じっている)、尿糖などを指摘されたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
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