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最近問い合わせが多い日本初の内臓脂肪減少薬『アライ』について記載いたします。
始めに、ダイエット目的のような感じで聞かれることが多いですが、あくまで内臓脂肪減少薬であり、肥満症治療薬ではないことに注意が必要です。最近発売された肥満症治療薬である『ウゴービ』に関しては、下記をご参照ください。
Q. 肥満症治療薬ではないというのはどういうこと?どのような人が使用できるの?
『肥満症』とは、肥満に起因する下記の疾患を合併している方のことを言います。そのため、アライは肥満症の方が内服できるものではないので、使用できる方が限られることが想定されます。
・18歳未満は適応外
・腹囲(臍の高さ)が男性85 cm未満、女性90 cm未満は適応外
・BMI 35以上は適応外
・購入3か月以上前から食事や運動などの生活習慣の改善に取り組んでいることが必要
・シクロスポリン、抗HIV薬、ワーファリンなどの抗凝固薬を内服している人は適応外
・BMI 25以上、35未満だが、下記疾患がある方は適応外
Q. どうやって内臓脂肪が減るの?効果は?
では、どのように脂肪が減るのでしょうか?食事中に含まれる脂肪(トリグリセリド)は膵臓から分泌される脂肪分解酵素であるリパーゼによって脂肪酸とグリセロールに消化され、腸から吸入されます。アライの主成分であるオルリスタットは腸管内でリパーゼの働きを阻害することで、食事由来の脂肪の吸収を抑えます。概ね25%阻害すると言われており、その分が便として排泄されることとなります。国内臨床試験として、内臓脂肪面積変化率と腹囲変化量を長期投与試験で確認しておりますが、それぞれ24週で-16.47%、-3.59cm、52週で-21.52%、-4.73cmという結果となっています。また、海外の臨床試験としてもデータがあり、オルリスタットを使用すると、生活習慣の改善単独療法と比較して体重減少、腹囲の減少効果があり、さらに総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、血圧、空腹時血糖、インスリン血中濃度の改善があったとの報告もあります(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10730683)。
Q. 副作用はどういうものがあるの?
報告された副作用は、薬理作用と考えらえる油の漏れや便を伴う放屁など、想定内のものが多かったようです。便が油っぽくなる、おならをすると便が漏れる、気が付かない間に油が漏れる、などに対する対策は脂っこい食べ物を避ける、便漏れパッドなどの漏れ対策を行うことが有効とされています。
Q. 薬はどのように購入するのでしょうか?また、内服はどのようにするのでしょうか?
購入は要指導医薬品のため、1日3回食後とされています。食事の中の脂肪分を排泄物として出すため、食事中または食後1時間以内の内服が良いとされています。それ以外の時間帯に内服しても効果が減弱する可能性があります。また、食事中の脂肪に対して効果があるため、食事をとらなかった際には内服する必要はありません。
Q. どれくらいで効果が出始めるの?
概ね4週間と言われています。
あくまでこの薬は生活習慣の改善というのが大前提になりますので、アライだけで簡単に痩せようという方には全く不向きであり、また、内服対象にもならないので、まずは生活習慣の改善から取り組むべきだと思います。BMI 25以上だと、耐糖能異常や脂質異常、高血圧や高尿酸血症、脂肪肝などを軽症であっても合併しているケースも多くあります。その場合は内服できないため、まずは医療機関受診を優先すべきだと思います。そのような場合でもすぐに内服となるかどうかは別であり、当院では管理栄養士からの栄養指導を受けることができます(毎月第一火曜日)。食生活の改善や運動習慣の徹底が優先されるのではないでしょうか。また、海外の臨床試験では主成分であるオルリスタットにより悪玉コレステロールや血圧の減少も認めたという報告はありますが、国内臨床試験としてはそのようなデータは確認されておりません。そのため、アライの適応になる方は下記になるかと思います。
『BMI 25以上ある方で定期的に健康診断を受けており特に基礎疾患を指摘されておらず、日頃から運動や食事習慣に気を使っている方』ということになります。当てはまる方は検討してみてもいいかもしれません。
【ゆう徳丸内科皮膚科へのアクセス】
板橋区徳丸4丁目にあるゆう徳丸内科皮膚科へは、有楽町線・副都心線『地下鉄赤塚駅』、東武東上線『下赤塚駅』『東武練馬駅』から徒歩圏内です。国際興業バス(下赤03)、りんりんGO(板橋区コミュニティバス)「赤塚第一中学校」バス停目の前であり、駐車場・駐輪場完備、敷地内に薬局完備しており、受診しやすい環境を整えています。練馬区北町にも隣接しており、徒歩圏内です。待合室は広く確保されており、予約システムや自動精算機を導入し待ち時間の短縮に努めております。管理栄養士も勤務しており、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満を始めとした生活習慣病の治療に力を入れております。