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◆アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったり慢性的に繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎は、「皮膚のバリア機能の異常」、「アレルギー炎症」、「かゆみ」という3つの要素がお互いに関連して発症すると考えられています。
乳幼児期から発症し、ある程度大きくなって寛解するケースもあれば、改善がなく再発を繰り返し大人になってからも症状に悩まされることもあります。有病率としては小学校1年生で17%程度、中学生になると10%までさがり、重症度も低くなっていくことから全体的には成長とともにアトピー性皮膚炎はよくなることが多いとわかります。
◆アトピー性皮膚炎の原因は?
病態は非常に複雑ですが、「アレルギー素因」を持った体質であること、そして皮膚のバリア機能が弱いことをはじめとした臓器の過敏な状態がアトピー性皮膚炎に関わっているとされています。
「アレルギー素因」とは下記の二つの要素があります。
①御本人や御家族が気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれかもしくは複数のアレルギー性の病気を持っていること。
②IgE抗体をつくりやすい体質であること。
アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚の内側では、サイトカイン(免疫システムに関わるタンパク質。体に炎症を引き起こす物質)が通常よりも増えアレルギー炎症が起きています。
産生されたサイトカインが免疫細胞(免疫をつかさどる細胞)の表面にある受容体という部分に結合すると、さらにサイトカインが過剰につくられてしまいます。これらにより、皮膚のさらなる炎症やかゆみが引き起こされ、皮膚状態の悪化につながります。
◆アトピー性皮膚炎の症状の特徴
①痒みを伴う事
②左右対称に症状が出る事
③乳児では2ヶ月以上、幼児以降は6ヶ月以上という長い期間にわたって持続的に症状がでること
症状が現れる場所は、全身どこでもでますが、 乳児期、幼少期、思春期、成人期など、年齢により症状の出る部位が変わります。
幼少期には「普通の湿疹ですね」と言われ過ごし、成人になって初めてアトピー性皮膚炎と診断されることも少なくありません。
乳児では頭や顔から発疹がみられ、徐々に四肢まで下降していくことが典型的ですが、幼少時には首や四肢の関節部に、思春期以降になると頭、背部や首、胸といった上半身で強くみられるとになることが多いです。しかし発疹のでかたには個人差があり、成人でも顔のみ症状が強い方も多くいらっしゃいます。
発疹の状態が悪い状態が続くと、とびひ(伝染性膿痂疹)、水いぼ(伝染性軟属腫)、カポジ水痘様発疹症(ヘルペスウイルスによる発疹症)などの合併症を高確率で起こします。
また、重症になると白内障や網膜剥離など眼に合併症が生じることもあります。
診断は、上記の特徴のある発疹がみられるため、通常は見た目で診断がつけられます。また、血液検査で、血清IgE値・血清TARC値・末梢血好酸球数、などの数値があがるため、重症度を決める参考値として測定することもあります。
◆アレルギーマーチについて
アレルギー素因を持つお子様は、成長するにつれてさまざまなアレルギー症状が代わり交代に出てくるという特徴があります。
年齢とともにアレルギーの症状が順番に現れる様子を、「アレルギーマーチ」とよびます。
昔は、食物アレルギーは食べた食物が消化管から吸収されることで発症すると考えられていましたが、現在は湿疹がある状態(バリア機能が大きく崩れた状態)にある皮膚からアレルギーを引き起こしやすい食物が感作されることで発症すると考えられています。生後4か月までの湿疹が食物アレルギーのリスクを約5倍上昇させるという報告もあります。
小さいころの湿疹・アトピー性皮膚炎を早くからコントロールし炎症のない皮膚の状態を作ることが、その後の食物アレルギー・気管支喘息・アレルギー性結膜炎・アレルギー性鼻炎・成人アトピー性皮膚炎の発症を予防となると言えるため、当院では小さいお子様の皮膚炎の治療を特に重要視しています。
◆アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎のお子さんの半数以上は、大人になる過程で寛解していくと言われてます。しかし、大人になっても症状が続くケースでは、難治性であることが多いです。小さい頃からしっかりと予防と治療をして良い状態の皮膚を保つことで、上記のように将来アトピー性皮膚炎の症状が残るリスクを減らすことができると言われています。湿疹、アトピー性皮膚炎を疑う発疹があれば早めに皮膚科を受診しましょう。
①外用療法
アトピー性皮膚炎の治療において、外用療法はメインの治療です。
アトピー性皮膚炎をしっかり抑えるには皮膚がツルっとした良い状態を保つ事が重要です。皮膚表面のバリア機能の異常と皮膚の炎症、この2つがアトピー性皮膚炎の原因ですが、がさがさ痒みのある、皮膚のバリアが崩れている状態が続いてしまうと、様々な外的因子(ハウスダストやダニなど多くのアレルゲンとなる物質)が容易に皮膚内に入ってきてしまい、炎症がよりひどくなる、という悪循環となります。そのため、
・普段から保湿剤で皮膚をうるおいのある状態を保つ事
・炎症のある部位には、それを抑えるためにぬり薬を使う言が大切です。
外用薬はステロイド外用薬以外にもタクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏、最近新しく出たタピナロフクリームなど今ではステロイド以外の選択肢も多くあります。
また当院では、正しい外用方法・正しい外用量についてもお話しをしておりますが、もし不明点がありましたらご質問ください。
外用薬についての詳細は別のブログに記載していきますね。
②注射薬
2018年にデュピリブマブが日本で発売されて以降、アトピー性皮膚炎の治療が大きく変わりました。
今では、ネモリズマブ・レブリキズマブなど新しい注射製剤も発売されており当院でも多くの患者様が使用されています。
③内服薬
④紫外線療法
当院には全身に照射のできる全身ナローバンドUVB療法、部分的に商社のできるエキシマライト、両方あるため多くの患者様が使用しております。
紫外線療法については過去のブログにも記載があるためそちらもぜひご参照ください。
治療は、それぞれに特徴や適応、メリット・デメリットもあります。治療法については今後もう少し詳しく記載していきます。