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こんにちは。今日は子宮頸がんワクチンについて、まとめさせていただきます。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に持続的に感染することで、異形成を生じた後、浸潤がんに至ることが明らかになっています。HPVに感染したとしても、多くの感染者では数年以内にウイルスが消失すると言われていますが、数%は持続的は感染となり、その後前がん病変(高度異形成、上皮内がん)に移行し、その一部が浸潤がんに至ります。そのため、HPVに感染しないようにすることが重要なのです。
性交渉歴のある人の多くは、HPVに一生に一度は感染すると言われており、日本においては子宮頸がん患者のほぼ100%で高リスク型パピローマウイルスが検出されています。高リスク型というのは、数あるパピローマウイルスの型の中で、HPV 16/18型がメインであり、少数ですが、HPV 31/33/45/52/58型も該当します。日本では子宮頸がんの罹患者は年間約1.1万人、それによる死亡者数は約2900人と推定されています。子宮頸がん罹患率は20台から上昇し、40代でピークを迎えます。子宮頸がん自体は早期発見できれば予後の悪い疾患ではありませんが、妊孕性を失う手術や放射線治療を要する方が、20代・30代で年間1000人います。また、前がん病変に対して行われる円錐切除術の件数は年間1.3万件を超え、円錐切除術は流早産のリスクが高まると言われています。
HPVワクチンは2006年に欧米で使われ始めた比較的新しいワクチンですが、海外や日本の疫学調査でHPVワクチンを接種することで子宮頸がんの前がん病変の予防効果、また、最新の研究では子宮頸がんそのものも予防することがわかってきています。
なぜ今このブログを書くかというと、今まで公費負担であったワクチンは2種類(ガーダシル®、サーバリックス®)でしたが、2023年4月よりシルガード®9というワクチンが追加されることになったためです。
・2価HPVワクチン(サーバリックス®)
HPV 16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防する効果が示されています。
・4価HPVワクチン(ガーダシル®)
HPV 16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防するとともに、HPV 6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防することが示されています。
・9価HPVワクチン(シルガード®9)
HPV 16/18/31/33/45/52/58型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防するとともに、HPV 6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防することが示されています。
こう見ると、価数が多い方がいいように見えますが、副反応との兼ね合いもあるため、必ずしも価数が多いワクチンのほうがメリットが多いわけではありませんので、その点はご留意ください。どのワクチンでも、HPVワクチン接種により自然感染で獲得する数倍の抗体量を少なくとも12年間維持することが示されており、ワクチン接種は非常に重要ですが、子宮頸がんの原因は上記のみではありませんので、ワクチンを接種したとしても子宮頸がん検診を受けることはとても重要です。
また、副反応に関してですが、どのワクチンでも疼痛や発赤、熱感、紅斑、めまい、倦怠感などの報告があります。また、頻度は少ないものの一部重篤な副反応(アナフィラキシーショック、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎など)の報告もある点にはご留意ください。
また、最近の問い合わせで多い内容ですが、2価・4価ワクチンと9価ワクチンの交互接種が可能かというものになります。結論から申し上げると、交差接種は差し支えないが、原則として同じワクチンを推奨するとされています。現時点において、交互接種における免疫原性や安全性に関する懸念は報告されておりません。ただし、繰り返しになりますが、原則としては同じワクチン接種を推奨されておりますので、当院としてはそちらを推奨いたします。
本日は、新たに定期接種に子宮頸がんワクチンシルガード®9が追加されるため、簡単に子宮頸がんワクチンのまとめをさせていただきました。子宮頸がんの主な原因となるHPV 16/18型はどのワクチンにも入っておりますので、その点はご安心ください。その他の付随効果もあるものの副反応との兼ね合いもございます。もしどのワクチン接種をすればよいかお悩みの際は一度当院をご受診いただければと思います。
【ゆう徳丸内科皮膚科へのアクセス】
板橋区徳丸4丁目にあるゆう徳丸内科皮膚科へは、有楽町線・副都心線『地下鉄赤塚駅』、東武東上線『下赤塚駅』『東武練馬駅』から徒歩圏内です。国際興業バス(下赤03)、りんりんGO(板橋区コミュニティバス)「赤塚第一中学校」バス停目の前であり、駐車場・駐輪場完備、敷地内に薬局完備しており、受診しやすい環境を整えています。練馬区北町にも隣接しており、徒歩圏内です。待合室は広く確保されており、予約システムを導入していることで待ち時間の短縮に努め、新型コロナウイルス感染症を始めとした感染症対策を万全に行っております。当院は子宮頸がんワクチン接種を行っております。接種をご希望の方はぜひご来院ください。